1995 Fiscal Year Annual Research Report
光学的測定による実験てんかんモデルでの病的興奮波伝播過程の生理学的解明
Project/Area Number |
07671081
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
中嶋 章作 京都府立医科大学, 医学部, 講師 (30207782)
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Keywords | 光学的測定 / てんかんモデル / 海馬 / CAI野 / カイニン酸 |
Research Abstract |
カイニン酸脳室投与ラットでは投与2-4週後に明らかに投与側の海馬のCA3野の神経細胞の変性と脱落が組織学的に観察された。しかしながら、同側のCA1、2野と歯状回の神経細胞の脱落は観察されなかった。また、同時に摘出した側頭葉の内側の組織にも大きな細胞の脱落はなかった。電気生理学的には、歯状回を約500μA前後で電気刺激するとCA1野に電場電位の誘発が確認された。この条件で電位感受性色素を組織に浸潤させて膜電位の変動を確認した。その結果、嗅内野2層の刺激では側頭内側部の組織に大きな電位変化はみられたものの歯状回への興奮の伝播は弱く不確実であった。これは脳切片の抽出法にまだ改良の余地があるものとみられる。歯状回の電気刺激では、刺激の部位に関わらずCAI野全体に遷延する膜電位の大きな変化がみられた。これは、CA3野の組織の脱落により、再生過程で何らかの神経連絡の特異性が失われた結果によると考えられた。さらに今回の実験で明らかにする予定であったCA2野の過剰興奮性については特にCA1野に比較して興奮性が高く、いわゆる異常興奮の'焦点'になるのではないかという仮説に対しては、この光学的測定法から自発発火なども含めて明らかな所見を得ることはできなかった。 また、背側海馬キンドリングモデルでは、実験個体数が少なかったため、結果を解釈するまでには至らなかったが、上記の結果については97年の国際てんかん学会においてさらに実験例数を増やした上で発表する予定である。
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