成長・発育における成長因子特にIGF-IIの役割に関する研究

1995 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 07671275
• Research Category: Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
• Research Institution: Kobe University
• Principal Investigator: 上谷 良行 神戸大学, 医学部, 講師 (40168620)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 高田 哲 神戸大学, 医学部, 助手 (10216658)
• Keywords: IGF-II / IGF-I / 発育 / 未熟児 / 栄養 / 子宮内発育

Research Abstract

妊娠ラットに高蛋白(30%カゼイン),低蛋白(5%カゼイン)でカロリーは一定にした特殊飼料を摂取させることによって,蛋白の負荷をかけることを試みたところ,高蛋白負荷及び低蛋白負荷妊娠ラットとも対照群(カゼイン20%)と比べて,体重増加に差は認めなかった.これは,飼料の摂取量の差によると考えられた.このような条件下での出産日の母体血清IGF-Iレベルは高蛋白群でやや高いものの,低蛋白群,対照群と有意な差を認めることができなかった.血清IGF-IIレベルにも認めなかった.
ヒトの未熟児における胎内発育と出生後の発育の差について血清IGF-1,IGF-IIの動態の面から検討すべく,未熟児の臍帯血及び生後の血清IGFレベルと蛋白栄養の指標としてプレアルブミンを測定し,発育との関連を見た.その結果,臍帯血IGF-IIは受胎後週齢の等しい未熟児(appropriate for date: AFD)の生後の血清IGF-IIレベルよりも高く,また在胎週数に比べて体重の少ない胎内発育遅延児(small for date: SFD)はAFD児よりもさらに低値を示した.また,血清プレアルブミン値は受胎後週齢40週までの血清IGF-IIレベルと有意な相関が認められた.体重及び身長と血清IGF-IIレベルは有意な相関を認めたが,体重・身長の増加率と血清IGF-IIレベルとは相関を認めなかった.
以上の点より,生後の蛋白栄養状態が血清IGF-IIを介して成長に関与していることが考えられ,血清IGF-Iと血清IGF-IIの相互関係について妊娠ラットへの蛋白負荷の再検討によって明らかになると考えられる.