1995 Fiscal Year Annual Research Report
硬膜外へ穿破した腰椎椎間板ヘルニアに対する生体反応の研究
Project/Area Number |
07671617
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
東村 隆 獨協医科大学, 医学部, 講師 (10180118)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野原 裕 獨協医科大学, 医学部, 教授 (90113604)
大堀 正明 獨協医科大学, 医学部, 助手 (60194289)
石川 宏貴 獨協医科大学, 医学部, 助手 (60202967)
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Keywords | 腰椎椎間板ヘルニア / 硬膜外脱出ヘルニア / 免疫組織学的検索 / 自然消失 |
Research Abstract |
これまでに、腰椎椎間板ヘルニア手術摘出標本19例のHE染色による組織学的検索で4例に髄核の表面および周囲結合織に炎症細胞の出現を認めた。これらは術中所見より、硬膜外へ穿破したsequestrationであり、症状出現から手術までの期間は各々5週、8週、11週、12週と短期であった。一方他の15例では炎症細部は認められず、硬膜外へ穿破していないsubligamentousであり、臨床経過も長期のものが多かった。炎症細胞陽性例(4例)の免疫組織学的検索において、症状出現から手術までの期間とモノクローナル抗体の染色状態(0: non 1: scatterd individual cells 2: scattered groups 3: fragment groups of cells 4: dense cluster of cells)を観察すると、症状出現から手術までの期間が8週、12週の2例にCD8が多数認められ(染色状態:3、4)、これらは術中、ヘルニア腫瘤はほとんど認められず、fibrous tissueのみが確認された症例であった。他の2例の標本は髄核成分に富んだものであり、CD8の染色状態は0であった。他のモノクローナル抗体の染色状態には明かな差はみられなかった。以上より、術中すでに髄核が吸収されたと思われた2例では、CD8が有意に多く、髄核が吸収されることにより、Supressor T細胞がHelper/Inducer T細胞に髄核が吸収されたことを伝達し異物反応が終了されたものと思われ、硬膜外へ穿破された髄核は異物反応によって吸収されるものと考えられた。しかし、これまでに、免疫組織学的検索を施行した症例は4例と少なく、CD8が多数染色された2例も症状出現から手術までの期間に差があり、今後さらに染色状態から吸収過程の段階を検討する必要があると考えられる。 また、当施設ではウサギの飼育は認可されておらず、マウスによる実験を施行したが、椎間板が小さく、髄核と線維輪の鑑別が困難で当初の目的は達成出来ず、今後、ウサギの飼育が許容されている施設で予定していた実験を行いたいと考えている。
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