1996 Fiscal Year Annual Research Report
胞巣状軟部肉腫の組織起源に関する電子顕微鏡学的研究
Project/Area Number |
07671624
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
大野 藤吾 帝京大学, 医学部, 教授 (70082120)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
朴 杓允 帝京大学, 医学部, 助手 (20147094)
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Keywords | 肉腫 / 胞巣状軟部肉腫 / 組織起源 / T細管様構造 / 横紋筋細胞 / 電子顕微鏡 |
Research Abstract |
胞巣状軟部肉腫(ASPS)は横紋筋から生じた腫瘍であることを暗示する結果を得た。5例中2例のASPS組織で、細胞膜と連続する滑面の管状構造(T細管様構造)が腫瘍細胞に存在することを、前年度の研究で報告した。今年度は、T細管様構造が今だ観察されていない3症例のASPS組織で存在するかどうかを調査した。その結果、全症例でこのT細管様構造を細胞質に確認した。この結果はT細管様構造がASPSと密接な関係の構造体であることを示す。観察したT細管様構造には2つの型があることも判った。1つは集簇型T細管様構造で、もう1つは分散型T細管様構造である。前者は5例中1例で見出され、ASPS組織では稀にしか確認できない。一方、後者は5例中4例で観察された。多くのT細管様構造は後者のカテゴリーに属する。分散型T細管様構造は、腫瘍細胞の豊富な細胞オルガネラの中では普通全く目立たないため、精密な観察を行なわなければ、これを同定することはできない。分散型T細管様構造は、腫瘍細胞ではその量も少ないため、発見が困難であるばかりでなく、細胞膜との連続性を示すパターンを超薄切片上で得ることも困難であった。これらがASPSでのT細管様構造の確認を妨げている理由である。4症例の分散型T細管様構造の中で、細胞膜との連続性を示したのは4例中1例にすぎない。集簇型T細管様構造では、比較的細管様構造が多く観察できるためか、細管様構造と細胞膜との連続性は容易に確認された。集簇型T細管様構造を含む組織から連続切片を作製し、集簇状態の細管の連続切片像を撮影したところ、集簇構造の辺縁部の細管像は分散型T細管様構造と極めて類似していた。このことは、分散型T細管様構造と集簇型T細管様構造は、その発達程度こそ異なるものの、同じ起源の構造体であることを示す。
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