1995 Fiscal Year Annual Research Report
硬膜外鎮痛法における刺激伝導系の変化とその機序に関する研究
Project/Area Number |
07671679
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
西川 精宣 大阪市立大学, 医学部・麻酔・集中治療医学, 講師 (20145791)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
行岡 秀和 大阪市立大学, 医学部・麻酔・集中治療医学(救急部), 助教授 (80117986)
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Keywords | 硬膜外オピオイド / 心臓交感神経活動 / 心刺激伝導系 / プロポフォール |
Research Abstract |
ネコをイソフルレンで麻酔し、T9/10間より硬膜外にカテーテルを挿入した。右頸静脈と右大腿静脈より右房および房室接合部に4極カテーテル電極を挿入し、それぞれ心房心電図の記録と心房ペーシング、His束心電図を導出に用いた。猫を右側臥位とし、左第2肋間で開胸して心臓交感神経活動(CSNA)を導出し、5秒毎の面積積分で評価した。以下の2群に分けた。 メペリジン(MEP)群:麻酔はα-クロラロース(初回量30mg/kg、その後30mg/kg/hr)で維持し、血圧、心拍数、CSNA、ならびに300msの基本ペーシング下に心房早期刺激法により房室結節伝導時間(AH)、His-Purkinje伝導時間(HV)、房室結節機能的不応期(FRP of AVN)、心房有効不応期(ERP of Atrium)を測定した。各対照値測定後、生食0.2ml/kgに溶解したメペリジン2mg/kgを硬膜外カタ-テルより注入し、15,30,60,90,120分後に測定を反復した。ナロキソンを静脈内投与(200μg/kg)し15分後に同様の測定を行った。 モルヒネ/プロポフォール(MOR/P)群:プロポフォールは、近年その短時間作用性ゆえに臨床使用が開始されたが、交感神経抑制作用に比べて迷走神経抑制は弱いとされ、刺激伝導系の抑制が増強する可能性がある。プロポフォール(初回量10mg/kg、その後15mg/kg/hr)で麻酔を維持し、モルヒネ200μg/kgを硬膜外投与してMEP群と同様に測定を行った。 両群ともに平均動脈脈圧,心拍数,CSNAの有意な減少、A-H,FRP of AVNの有意な延長を認めたが、MEP群でより発現が早かった。ナロキソン投与で、MOR/P群では全ての測定値が対照値まで回復したが、MEP群ではCSNAの回復がみられなかった。MOR/P群における変化はα-クロラロース麻酔下の硬膜外モルヒネ投与と同様であった。 胸部硬膜外オピオイドによる心臓交感神経の抑制が、血圧低下、心刺激伝導系の抑制に関与していると考えられた。α-クロラロースとプロポフォールの基礎麻酔による差はなかった。またメペリジンの局所麻酔作用を支持する結果が得られた。
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