1996 Fiscal Year Annual Research Report
麻酔による肝循環、肝酸素代謝、細胞内カルシウムの変動と肝障害に関する研究
Project/Area Number |
07671683
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Research Institution | Saitama Medical School |
Principal Investigator |
松本 延幸 埼玉医科大学, 医学部, 助教授 (60095388)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮崎 孝 埼玉医科大学, 医学部, 助手 (30265417)
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Keywords | Anesthetics / Liver blood flow / Liver oxygen consumption / Nitric oxide (NO) / Ca++ion / constitutive Nitric oxide synthase / Liver injury / NO analysis |
Research Abstract |
1、犬を使用し低酸素血症および肝切除時のハロタン、イソフルラン、セボフルランの肝循環、肝酸素代謝、肝エネルギーチャージにおよぼす影響を検討した。イソフルラン、セボフルランはハロタンと比較してこれらをよく維持することから、イソフルランやセボフルラン麻酔では極めて強度の低酸素血症時以外では、肝酸素需給不均衡に基ずく肝障害は生じないものと思われる。2、人為的なショックに近い状態と考えられる人工心肺中の肝循環、肝酸素代謝の変動について犬を用いた研究を行い検討を加えた。この結果フェンタニール10mg/kg/hの麻酔下では人工心肺灌流量が大動脈基始部血流量の80%あれば肝血流量は減少せず肝酸素需給バランスも良く維持されたが、フェンタニールを50mg/kg/hへと増量すると門脈血流量は著しく減少し、肝酸素消費量も抑制される傾向となった。更に低酸素血症が伴えば術後の重篤な肝障害が惹起される可能性が示唆された。3、一般に臓器の血流量は血管平滑筋の収縮、弛緩により調節されている。この調節には一酸化窒素(NO)が強く関与していると言われるが、NOは肝臓でも同様に作用している可能性がある。生理的状態の肝臓では主にconstitutive NO Synthase(cNOS)により合成されるNOが肝微小循環を調節していると思われる。cNOSはその合成にカルシュウムを必要とするため細胞内カルシウム濃度との関わりも強い。これまで、このNOを検出する方法としてはESRによってHbNOとして測定する、Griss法による発色、電極法等があるがその感度から生理的状態での正確な測定は行なわれていない。私たちはcNOSが関与する定常状態での全血中NO関連化合物の新しい高感度測定法を確立し、現在、肝血流減少との関連や細胞内カルシウムイオンとの関連を検索中である。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 松本延幸 ほか: "麻酔と肝臓-麻酔が肝血流量に及ぼす影響" Anesthesia Today. 5. 4-13 (1996)
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[Publications] 薗田勝、宮崎孝 ほか: "血球内一酸化窒素(NO)関連化合物の高感度測定に関する研究" 磁気共鳴と医学. 7. 188-191 (1996)
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[Publications] 薗田勝、宮崎孝 ほか: "全血中NO^-関連化合物の測定とその動態に関する研究" 磁気共鳴と医学. 8. 162-165 (1997)
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[Publications] Masaru Sonoda,Takashi Miyazaki etal: "An Assay Method for Nitric Oxide-Retated Compound in Whole Blood" Analitical Biochemistry. 247(Accepted at Feb.1/1997). (1997)
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[Publications] 松本延幸 ほか: "図説最新麻酔学シリーズ第1巻3.麻酔中の患者の生理-肝機能-" メジカルビュー社, 262(105-115) (1996)