1997 Fiscal Year Annual Research Report
経食道心エコー法による麻酔中の各種麻酔薬や体位が心循環系に及ぼす影響の検討
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07671690
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
豊田 茂芳 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (10246423)
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Keywords | 経食道心エコー法 / 冠動脈バイパス術 / 麻酔 / 冠静脈洞 |
Research Abstract |
冠動脈バイパス術の手術を予定された患者25名を対象とし、患者さん本人の承諾の上で、下記方法にて実施して以下の結果が得られました。 麻酔はフェンタニール、ドルミカム、ベクロニウムのバランス麻酔で行いました。麻酔導入後、経食道プローベを食道に挿入し、人工心肺(CPB)開始前にコントロールとして、冠静脈洞の血流速度(FV)、血流速度の時間積分値(TVI)、冠静脈洞経(CSD)を計測し、同時に心拍数(HR)、収縮期、拡張期、平均血圧(SAP,DAP,MAP)、心係数(CI)及び拡張期肺動脈圧(PAD)を測定しました。CPB下で冠動脈バイパス術を施行し、CPB離脱後、同様の心機能諸量を計測しました。 結果はCPB離脱後FV、TVI、HR、CIは統計学上有意に増加し、SAP、DAP、MAPは有意に低下しました。PAD及びCSDは有意な変化は認められませんでした。 今回の結果はおそらく冠動脈バイパス術を施行し、冠動脈に流れる血流が増加した結果、冠静脈洞に流れてくる血流も増加したためFV、TVIは増加したと考えられます。そして、心筋虚血を起こしていた部位にも血流が再開され、心機能が改善し、血圧がコントロールの時より低いにも関わらずCIは増加したのだと考えられます。今回の結果より、TEEは冠静脈洞血流をモニターすることによって間接的に冠動脈血流をモニターし、冠動脈バイパス術の良否の評価を麻酔中にできる可能性があることが示唆されました。
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