1995 Fiscal Year Annual Research Report
新しいfingerprinting法による多発癌の解析と転移特異遺伝子変異の同定
Project/Area Number |
07671794
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
木花 敏雅 愛媛大学, 医学部, 助手 (90234327)
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Keywords | 多発癌 / 重複癌 / 癌遺伝子 / 転移 / clonality / fingerprinting / AP-PCR法 |
Research Abstract |
われわれは多病巣を持つ婦人科癌,とくに卵巣の腫瘍(T1)と他の部位にある腫瘍(T2)および正常(N)に対し,それらの組織よりDNAを抽出した。T1,T2のclonalityを明かにするためにPCRを用いた一種のfingerprinting法であるarbitrarily primed PCR(AP-PCR)法のband patternによる検討を行った。まずAP-PCRのbandを明瞭に,かつ多数出現させるためのPCRの条件の設定を行い,primerを一個からrandomに数個のprimerを用いたPCRも検討したが各PCR-primerによりannealing温度が異なっていた。この際,AP-PCRをdenaturing gelのみではなくnon-denaturing gelを用い,single strand conformation polymorphism(SSCP)解析にても行った。しかし,band patternの解析が複雑になる傾向が認められたためAP-PCRにおけるSSCPの解析の利用法は現在検討中である。腫瘍T1とT2は(1)臨床病理学的検討とp53変異,LOHの検討により単一のclonalityであるもの(2)臨床病理学的検討でclonalityが不明であったがp53,LOH解析によりclonalityが異なることが示唆されたものに分類したうえでAP-PCRにより検討したが,(1)ではNとT1,T2は異なるもののT1,T2は必ず同一のband patternを示したためAP-PCRは同一のclonality解析に有用であることが判明した。その一方,転移の際生じる特異遺伝子異常はわれわれの検討した検体および用いたprimerでは認められなかった。また(2)では多くの症例では(1)と同様に同一のband patternを示したが,band patternが異なるものが認められ,p53,LOH解析の結果と一致した。現在primerの数を増やして,(1)では異なるband patternを,(2)では同一のbandを示す症例の有無を検討中である。また,数種類の卵巣癌細胞株DNAを使用し,(2)の症例において異なったbandが特異的に出現あるいは欠失するかを観察したが特異性は認められなかった。
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