1996 Fiscal Year Annual Research Report
新しいfingerprinting法による多発癌の解析と転移特異遺伝子変異の同定
Project/Area Number |
07671794
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Research Institution | Ehime University School of Medicine |
Principal Investigator |
木花 敏雅 愛媛大学, 医学部, 助手 (90234327)
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Keywords | AP-PCR / 転移 / fingerprinting法 / クローナリティ / 卵巣癌 / 子宮内膜癌 |
Research Abstract |
arbitrarily primed(AP)-PCR法はPCR初期段階のannealingのstringencyを低くして,DNAにrandom annelingさせる方法で一種のfingerprinting法である。この方法はarchival標本のDNAに応用可能であった。randomに選んだ20個のprimerのうちわれわれのPCR conditionにおいて明瞭なbandが認められたものは10個であった。他のprimerはPCRの条件を変える必要があったがその検討は行っていない。われわれは臨床病理学的に明かにclonalityが同一で,原発巣,転移巣が判明している子宮内膜癌5症例と卵巣癌8例においてAP-PCRを施行した。ひとつのprimerにおいて観察可能なbandは15本より25本であった。したがって約200の遺伝子領域について正常(N),腫瘍(T1),転移腫瘍(T2)のDNAの相違を観察したことになる。また,AP-PCR-single conformational polymorphism(SSCP)法も試みたがband patternが複雑になり解釈が混乱し、結果を得ることはできなかった。AP-PCR法によりT1,T2においてNと異なるbandの欠損,増加,減弱,増幅が観察することができた。10個のprimerを用いてNとT1,T2は最低1カ所は異なるbandを認めたものの,T1とT2は常に同じband patternを示した。したがってわれわれの症例,用いたPCR primerにおいて転移特異遺伝子を見つけることはできなかった。これらの13症例はp53遺伝子変異,染色体欠損,human androgen receptor geneのmetylation patternを調べている症例であったので,これらの方法によるclonality解析とAP-PCR法によるclonality解析のとを検討したが,両者ともに同程度の利用価値を認めた。したがって,両者を組み合わせることによりclonality判定が正確になる可能性が示唆された。
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