1995 Fiscal Year Annual Research Report
薬剤による前庭受容器の傷害メカニズムと再生能力に関する実験的研究
Project/Area Number |
07671859
|
Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
鈴木 衛 広島大学, 医学部, 助教授 (80116607)
|
Keywords | 摘出半規管 / ストレプトマイシン / クプラ / 平衡障害 / 前庭神経切断 / 神経再生 / 前庭器障害 |
Research Abstract |
研究実績の概要(平成7年度) まず、クプラが薬剤やイオンの感覚細胞に対するバリアーとして働くか否かを確かめるため、ダブルチェンバー内に摘出後半規管を設置し、内外リンパ内のカリウムイオン濃度を変化させ、電位を記録し、これがクプラの有無によって影響を受けるか否かを検索した。電位の変化はクプラの有無に無関係であり、クプラ自体はイオンのバリアーとしては作用しないものと考えらえた。つぎに、抗癌剤であるシスプラチンの前庭器に対する作用をみるために、同剤を半規管に作用させ、電位を記録した。リンゲル液内の濃度を0.1mg/mlから上昇させていったが、0.2mg/mlまでは反応は変化せず、同剤自体には前庭器毒性はないものと考えられた。ストレプトマイシンをカエル内耳内に投与し、頭部傾斜角度からみた平衡障害の回復度と前庭器の形態学的障害度とを比較した。投与後13週まで観察したが、傾斜の回復は軽度のものが多かった。また、障害の軽いほど回復はよく、半規管電位も保たれていた。さらに、この時点で感覚細胞には再生されたものが観察され、これらが今後長期にわたる平衡障害回復に寄与する可能性はあるものと想像された。つぎに、ストマイで前庭器障害を起こした後に前庭神経の切断を行った。この場合は、神経の再生はみられず、前庭神経の再生には末梢受容器の生存が必要であることが判った。また、このことり、受容器への直接の障害のほか、神経再生を高度に阻害するというアミノ配糖体薬剤の作用も明らかとなった。
|