1995 Fiscal Year Annual Research Report
化学感覚受容機構の障害に関する臨床的並びに実験的研究
Project/Area Number |
07671877
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
愛場 庸雅 大阪市立大学, 医学部, 講師 (10192840)
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Keywords | 嗅覚 / 味覚 / ウィルス / 亜鉛 / 鉄 / アポトーシス / 嗅上皮 |
Research Abstract |
(1)嗅覚味覚障害患者に関する疫学的調査 (1)ウイルス性嗅覚障害患者の発症季節を調査したところ、春から夏にかけての発生が多く、この季節に流行をみるウイルスにより引き起こされる可能性が示唆された。とくにパラインフルエンザやエンテロウイルスなどの分離頻度と近似しており、原因ウイルスの種類の候補をかなり絞り込む事ができた。今後確定するためには、血清学的調査、ウイルス分離が必要になろう。 (2)嗅覚味覚障害患者の血清中の微量金属元素を調査したところ、血清亜鉛や鉄が低い値を示す症例が多く見られ、血清亜鉛や鉄の嗅覚味覚障害への影響が確認できた。原因別の有意差はでなかったが、引き続き調査を行う必要がある (3)多くの種類の薬物により嗅覚味覚機能障害が引き起こされることが明らかになり、嗅覚味覚障害患者の1〜3割近くを占めることが明らかになった。また嗅覚味覚の受容機構の解明の役に立つかもしれない。 (2)嗅上皮および味蕾に関する形態学的研究 実験動物を使用し、嗅上皮おける細胞死(アポトーシス)を、TUNEL法を用いて同定した。幼若動物でも成熟動物でも、嗅神経細胞におけるアポトーシスが観察され、嗅上皮における細胞のturnoverにアポトーシスが関与している事を示した。各種の病的状態で、これがどのように変化するかを追究するのが今後の課題である。 (3)嗅覚味覚障害の治療法に関する研究 亜鉛製剤を、味覚障害のみならず、嗅覚障害患者にも投与してみた。従来の治療法と有意の差は出ていないが、併用により治療効果の上昇を期待できる事がわかった。今後症例を重ねて検討する価値があると考えられた。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 愛場 庸雅: "嗅覚味覚障害患者の血清中微量金属" 日本味と匂学会誌. 1. 510-512 (1995)
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[Publications] 愛場 庸雅: "薬剤性嗅覚味覚障害-当科における現況-" 日本味と匂学会誌. 2. 285-288 (1995)
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[Publications] 愛場 庸雅: "嗅覚障害に対する硫酸亜鉛内服療法の試み" 医学のあゆみ. 176. 498-499 (1996)
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[Publications] 塩谷 隼人: "嗅上皮におけるアポトーシス" 日本鼻科学会誌. 34. 246- (1995)
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[Publications] 杉浦 緑: "感冒後嗅神経障害の感冒症状について" 日本鼻科学会誌. 34. 250- (1995)