1996 Fiscal Year Annual Research Report
化学感覚受容機構の障害に関する臨床的並びに実験的研究
Project/Area Number |
07671877
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
愛場 庸雅 大阪市立大学, 医学部, 講師 (10192840)
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Keywords | 嗅覚 / 味覚 / 錯誤 / 予後 / アポトーシス / 亜鉛 / 嗅神経 / TUNEL法 |
Research Abstract |
(1)嗅覚味覚障害患者に関する疫学的調査 (1) 嗅覚味覚合併障害の実態について調査を行い、風味障害が25%あること、味覚障害の方が嗅覚障害よりも改善が早いことなどが明らかになった。 (2)味覚錯誤は約60%の症例に見られ、味覚の閾値が高いほうが錯誤を起こしやすいこと、塩味、酸味刺激が間違われ易いことが判明した。しかし特定の病態と錯誤との関連は明らかではなかった。 (3)嗅覚障害の予後にかかわる因子として、女性のほうが改善率が良いが、年齢による差はあまりないこと。罹病器官が長期にわたると改善率は下がること。頭部外傷による嗅覚神経性嗅覚障害は、改善率が20%弱と低いが、他の原因は50〜60%程度であること。呼吸性、混合性嗅覚障害は、寛解増悪を繰り返す率が高いこと。検査が脱失、無反応の症例は改善率が低いこと。改善した症例の大半は6ヵ月以内にその効果が出ていることなどが明らかになった。 (2)嗅上皮および未蕾に関する形態学的研究 実験動物を使用し、嗅上皮における細胞死(アポトーシス)を、TUNEL法を用いて同定した。幼若動物でも成熟動物でも、嗅覚神経細胞におけるアポトーシスが観察され、嗅上皮における細胞のturnoverにアポトーシスが関与している事を示した。各種の病的状態で、これがどのように変化するかを追求するのが今後の課題である。 (3)嗅覚味覚障害の治療法に関する研究 亜鉛製剤を、味覚障害のみならず、嗅覚障害患者にも投与してみた。従来の治療法と有意の差はでていないが、併用により治療効果の上昇を期待できる事がわかった。今後症例を重ねて検討する価値があると考えられた。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 愛場,庸雅: "嗅覚障害に対する硫酸亜鉛内服療法の試み" 医学のあゆみ. 176. 498-499 (1996)
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[Publications] 奥田文幸,他: "嗅覚障害の予後にかかわる因子についての検討" 日本耳鼻学会誌. 35. 157 (1996)
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[Publications] T. Nakagawa et al.: "Apoptosis in the normal olfactory epithelium of the adult guinea pig." Europian Archives of Otorhinolaryngology. 253. 371-373 (1996)
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[Publications] 松本孝司,他: "味覚障害患者における味覚錯誤について" 日本味と匂い学会誌. 3. 712-715 (1996)
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[Publications] 富山健太,他: "嗅覚味覚合併障害症例について" 日本味と匂い学会誌. 3. 716-718 (1996)