1995 Fiscal Year Annual Research Report
脳性麻痺患者における咬合圧測定システムの臨床応用に関する研究
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07672160
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
山崎 統資 東京医科歯科大学, 歯学部, 助教授 (40014328)
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Keywords | 脳性麻痺 / 咬合力 / 咬合バランス / 顎機能異常 / デンタル・プレスケール |
Research Abstract |
中枢神経障害を伴う脳性麻痺患者では、顎口腔機能の運動障害が認められている。顎機能異常すなわち咬合接触状態が特異な状態であるため、著者らの調査からみても健常者より早期に歯牙を喪失する傾向を有している。したがって、脳性麻痺患者の歯科治療では顎機能の正しい評価が歯列の保存、補綴物の設計や義歯の予後を決定する上で重要な問題となる。そこで、本研究では1993年富士写真フィルム(株)により開発されたデンタル・プレスケールを用い、脳性麻痺患者の咬合接触状態および咬合バランスを測定・評価した。(対象)知的障害がなく軽度なアテト-ゼ型の成人脳性麻痺患者5名で、術前にタッピング運動可能で本調査について十分理解し協力を得られる患者とした。(方法)頭位はフランクフルト平面が床と水平になるように保持し、先ずプレスケールRタイプを用い、最大咬合圧で3秒間咬合し印記した。5分間休憩後、さらにWタイプで同様に記録し評価した。(結果・考察)有効接触圧%、接触面積mm^2、平均圧力MPa咬合力Nについては健常者群では左右差(左/右=1.0)は認められなかったが、脳性麻痺患者群では左右差(41.9%:58.1%)が認められる例が多かった。習慣性閉口位の咬合接触部位も健常者群では主に大臼歯に集中していたが、脳性麻痺患者群では前方、側方に移動するなど一定の傾向を示さなかった。また、咬合接触面積も健常者群に比べ増加する傾向にあった。以上の結果より、脳性麻痺患者は不随意運動に付随したブラキシズム、歯の咬耗や頭位の向きの変化・傾斜などの影響(胸鎖乳突筋筋電図による解析)が咬合接触面積や咬合バランスの左右差に反映していることが示唆された。今後はさらに症例を追加・分析しこれらの左右差を可及的に小さくする方策を開発し、歯牙の欠損防止と補綴指針決定の基準を検討する必要があると思われた。
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