1997 Fiscal Year Annual Research Report
精神障害者への地域ケアにおけるケースマネージメント・モデルの開発に関する研究
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07672534
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Research Institution | College of Nursing Art & Science, Hyogo |
Principal Investigator |
近澤 範子 兵庫県立看護大学, 看護学部, 助教授 (40118055)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
千藤 明美 兵庫県立看護大学, 看護学部, 助手 (50295763)
郷良 淳子 兵庫県立看護大学, 看護学部, 助手 (40295762)
住吉 亜矢子 兵庫県立看護大学, 看護学部, 助手 (00285347)
宇佐美 しおり 兵庫県立看護大学, 看護学部, 講師 (50295755)
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Keywords | 精神障害者 / 自己調整力 / ケースマネージメント |
Research Abstract |
今年度は、初年度と次年度の2つの質的研究結果を統合し、文献検討を踏まえて、精神障害者のケースマネージメント・モデルを考案した。まず、精神障害者の「自己調整力の強化」の過程とその関連要因について考察を加えた。「自己調整力の強化」の過程は、<病気や症状とのつきあい方の学習><人とのつきあい方の学習><生活リズムをつかむこと><場の拡大>という4つの要素から成る《体験を通しての学びのプロセス》であり、これには様々な《人とのかかわり》や《場とのかかわり》が影響していた。とくに、<支えとなる関わり>は自我機能の低下を補う働きとして、作業所やデイケアは自分のペースを維持できる融通性のある場、生活リズムを作ための活動の場など<慣らしの場>として重要な意味をもっていた。次に、「自己調整力の強化」に関わるケア提供者の機能に関する研究結果と比較検討を行った。その結果、《自己決定力を強化する》《病感をつかめるようにする》《症状への対処力を高める》《生活リズムを整える力を高める》《家族や地域の中に居場所をつくる》などのケア提供者の機能は、上記の要素と符合するものであった。そこで、ケースマネージメントに関する国内外の文献検討の結果を踏まえて、これらのケア提供者の働きかけをケ-マネージメントの概念枠組から検討したよころ、「計画」「間接介入」「モニタリング」「評価」に該当する働きかけが少ないこと、つまり、継続的なケアに責任をもつケースマネージャーの機能や連携システムがないことが明らかになった。以上の検討結果をもとに、精神障害者の「自己調整力の強化」に焦点をあてたケースマネージメント・モデルとして、働きかけの目標および「アセスメント」から「評価」に至る一連の過程における指標、多様な介入方法、ケースマネージャーのつくる独自の“関係性"を明確にした新たなモデルを作成し、システムづくりの上での課題について提言した。
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