Research Abstract |
<目的>本研究では,近年とくに疲労骨折例が多く報告されている高レベルの女子長距離走者の場合について,骨密度と食生活状況,体力,血液値,月経不順との関連性を詳しく検討し,さらに他種目の女子選手およびコントロール群(特別な運動をしていない女子高校生)との比較を行うことによって,女子長距離走者の場合の特徴を明らかにすることを目的として,以下の方法により実施した。 <対象と方法>平成7年度に長崎県立総合体育館による体力総合診断に参加した高校生優秀スポーツ選手のなかから,女子長距離選手,女子バスケットボール選手,男女剣道選手計48名および別にコントロール群26名について,AchillesおよびDPX-L(ルナ-社)により,踵骨,全身骨,腰椎,前腕骨の骨密度測定を行った。体力総合診断時に測定した体格,形態(身長,体重,胸囲,座高,腹囲,上腕囲,大腿囲,下肢囲,ウェスト,ヒップ),皮下脂肪厚(上腕部,背部,腹部,栄研式脂厚計使用)、身体組成(超音波皮脂厚計による),生化学検査(血液値--赤血球数,白血球数,ヘモグロビン,血清鉄,血清脂質,血清たんぱく質。尿--尿素窒素の測定,尿中クレアチニン)と食生活状況調査(3日間の自己記入方式による食事記録から栄養素摂取量と食品群別摂取量を算定),体力値(最大酸素摂取量,脚筋力,最大無酸素パワー,血中乳酸値等),月経に関するアンケート及び基礎体温の変動記録等と骨密度との関連性について検討した。 <結果>長距離選手の骨密度値(踵骨の骨強度および全身,腰椎骨塩量)はバスケットボール,剣道選手より低く,また,バスケットボール,剣道選手はコントロール群より高かった。しかし,前腕骨の骨塩量には大差が見られなかった。その他の結果については現在解析中であり,第51回日本体力医学会,平成8年9月18,19,20日に発表の予定である。
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