1995 Fiscal Year Annual Research Report
運動時の血中乳酸除去能に及ぼす循環系および緩衝系の影響
Project/Area Number |
07680128
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
丸山 敦夫 鹿児島大学, 教育学部, 助教授 (80117548)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 信行 鹿児島大学, 医学部, 教授 (40041454)
美坂 幸治 鹿児島大学, 教育学部, 教授 (10041401)
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Keywords | 回復運動 / 血中乳酸消失率 / 心拍出量 / 一回拍出量 |
Research Abstract |
血中乳酸の除去は,乳酸代謝における乳酸クリアランスと関係が深い.運動時の乳酸クリアランスは,運動筋あるいは非活動筋による乳酸除去と筋血流量の積から成り立つと言われる.地中乳酸除去能はこのような筋自体の能力と全身へ乳酸を分配する循環の影響を受ける.そこで,本年度は,回復運動時の乳酸除去と循環の関連を検討することを心がけた.すなわち,血中乳酸消失率と中枢循環である心拍出量,一回拍出量の関連を鍛錬者と非鍛錬者を比較しながら明らかにする. 被験者はトレーニング水準の高い大学生長距離選手8名とコントロール群として日頃比較的活発に運動していた大学生7名である.血中乳酸除去能を評価するために、まず、100%換気性閾値(Ventilatory Threshold;VT)で3分間の予備運動を行ない、150%VTの主運動強度で3分間そして再び100%VTに戻して15分間の強度で回復運動を設定した.安静時および運動時の血中乳酸濃度は予備運動,主運動,回復運動を通じて設定した時間で採血した.乳酸濃度の分析は固定化酵素法で行なった.心拍出量および一回拍出量はイヤーピ-ス法による色素希釈法を用いて,回復運動時3分,7分,10分,15分目に肘上静脈からジアグノグリーンを注入して耳朶部のホトセンサーで測定した. 回復運動時の血中乳消失率は,鍛練者群および非鍛練者群の間に有意な差が認められた(P<0.01)が,回復運動時の各測定時間における心拍出量,心拍数,一回拍出量および動静脈酸素差はそれぞれ,両群の間には有意な差は認められなかった.しかし,回復運動時の心拍出量および一回拍出量は鍛練者の方で高い傾向にあり,さらに,動静脈酸素差は鍛練者群で大きい傾向にあった.心拍数は非鍛練者の方が高い傾向にあった.即ち,乳酸消失率では有意な差が生じたものの,心拍出量を中心とした循環系には明確な差が認められなかった.これらのことから,血中乳酸の除去には骨格筋の抜き取りが大きく関与しているのではないかと推察される.今後,酸塩基平衡の影響とともに運動部位である大腿部の筋血流量の測定を行い,局所の循環の影響も確認する必要がある.
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