1997 Fiscal Year Annual Research Report
海水飛沫帯における砂岩の侵蝕速度に及ぼす地形場の影響
Project/Area Number |
07680191
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Research Institution | CHUO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
高橋 健一 中央大学, 文学部, 教授 (40129961)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松倉 公憲 筑波大学, 地球科学系, 教授 (80107341)
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Keywords | 海水飛沫帯 / 砂岩 / タフォニ / 塩類風化 / 熱赤外線映像 / 赤外線水分計 / 地形場 |
Research Abstract |
1.野外調査結果 (1)全砂岩塊の窪み計測:第3、第4橋脚の基部を覆っている砂州が消失せず基部の砂岩塊の窪みを計測出来ないこと、および昨年度の欄干取替工事のための足場組立ての際に、窪み計測の基準になるモルタル目地が人為的に掻き落とされ計測が困難になった橋脚側面が広いこと、などの悪条件が重なり今年度も実施できなかった。(2)砂岩塊の表面温度/含水比観測:平成9年8月1日〜8月5日に橋脚砂岩塊表面の温度/含水比測定、橋脚の熱映像観測を主目的とする現地調査を実施した。これは、平成7年度の夏季に実施した橋脚の熱映像観測が、初めての観測で測定法の確立を重要な目標とするものであったために、観測手法そのものが十分に確立していなかったこと、さらに観測と並行して日射量の観測や橋脚砂岩塊表面の含水比の測定が行われなかったこと、などの課題が残されていたことによる。この観測によって、年間のうち、太陽高度の高い夏季と太陽高度の最も低い冬季のデータとが得られた。(3)砂岩塊の冠水状況:当初考えていたタイム・カウンターを用いた観測はデータの収集・保存に関する問題点が生じたため、新しいタイプの測定器を開発・製作したに留まった。 2.室内解析結果 (1)全砂岩塊の日照条件解析:全砂岩塊の日照条件の解析では、橋脚形状、橋桁の影の影響を考慮し、砂岩塊相互に比較しうる指標をパソコンを用いて算出したが、橋桁以外の事物による影を現地で確認する必要が生じた。今後の課題ではあるが、フィッシュアイレンズを使用して実施する予定である。(2)空中写真判読:橋脚の位置による風化・侵蝕の様式や強度の差異の実態が十分に判明した後に実施することにした。 3.室内実験・理論研究結果 (1)赤外線水分計:昨年度から継続していた吸光度と含水比のキャリブレーションカーブに関する実験の結果、昨年度報告の通り簡単な一次式で表されることが確認された。(2)理論研究:海岸環境下におけるタフォニ成長速度と岩石物性との関係式を確立した松倉の研究によって、弥生橋の砂岩塊表面の窪み形成過程における侵蝕作用の役割を分離・評価できる見通しがついた。
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