1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07680207
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Senshu University |
Principal Investigator |
広瀬 正克 専修大学, 経営学部, 教授 (20083602)
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Keywords | サイエンスリテラシー / 科学教育 / 新学力 / 自己教育力 / 教材開発 / 実験 / 双方向講義 |
Research Abstract |
研究者は、本研究の目標の一つを新指導要領導入の際に提示された「新学力」においた。しかしながら、平成7年度の研究では、研究者が対象とした多くの大学生にそれらの能力に欠けていることが判明した。その結果をもとに、平成8年度は「新学力」の第一項目、すなわち自己育成力の養成に目標をおいた。研究は昨年度同様に「物質の科学」(化学)を中心に、研究目的にそったテーマの選択、実験、講義の展開法、有効な教材等について研究を行った。今年度は4コマの講義を展開したが、「薬」、「色」、「合成高分子」、「生命情報」等のテーマを中心に講義を行った。それは前年度の研究で内容を絞り込んだ講義の展開の必要性が判明したからである。全ての講義に共通することは、幾つかの事象、図表を提示し、それらからどんなことが、またどこまで解るのかということを中心に講義を進めた。また、学生との対話、実験をなるべく取り入れることにした。「薬」というテーマでは、鎮痛薬を軸に、薬物受容体と薬物との関係を分子構造を中心に、「色」というテーマでは染料を軸に、色と分子構造、電子分布との関係を重点的に講義した。「合成高分子」の講義では、合成繊維、プラスチック、機能性高分子等を対象として、物質の性質と分子構造との関係について言及した。「生命情報」では遺伝情報-DNA、RNAを軸に講義を進めた。特に「色」に関する講義は、染色実験や染料の合成、分光分析等多方面からのアプローチが可能であり、それらの結果をもとに学生との対話を酒とした双方向の講義が展開できた。概ね研究目的に適した講義テーマ、実験と考えられる。「薬」と「生命情報」に関しては、分子の形を視覚的とらえる方法(分子模型、コンピューターグラフィック)に関する教材開発や実験の開発を考える必要がある。 サイエンスリテラシー育成のためには、なるべく低学年のうちにその目を育てておくことが必要であり、同時に少人数の教育が不可欠と思われる。
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