1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07680260
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
岸 学 東京学芸大学, 教育学部, 助教授 (40143622)
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Keywords | 説明的文章 / 文章表現 / 国語教育 |
Research Abstract |
(1)小学校児童における手続き的知識を伝える説明文表現の特徴の分析 小学校2・5年生を対象に、手続き的地域を伝える説明文の表現課題を実施し、文章表現のわかりやすさが説明内容の先行知識の程度によってどのように異なるのかを実験した。既に実験は終了し、先行知識量がわかりやすさに影響すること、特に知識量が違わない場合には2・5年生間でわかりやすさに差がないことが明らかになった。また、先行知識量が異なる2課題間で、個人内の産出技能が安定しないことも明らかになった。研究内容は、既に東京学芸大学紀要第37集(平成8年3月発行予定)に投稿済みである。 (2)対話による説明産出過程の規定因について 大学生を対象に、対話形式で説明を実施した場合、聞き手の知識状態の推測や説明対象に対する学習の進行状況によって説明表現がどのように変動するのかの基礎研究を行った。実験はinternet上で行い、internetでのmail操作を説明して学習させるという課題を設定した。その結果、相手の知識状態に関する知識を事前に伝えることが、わかりやすい説明産出の主要因になっていることが示された。また、説明者・学習者双方にとってわかりやすいと判断される説明には、共通の説明内容があることを示すことができた。この研究内容は1996年の日本心理学会大会にて発表予定である。 平成7年度の研究成果により、児童に手続き的知識の表現指導を行う際には、説明対象についての先行知識をどのように伝達し、統合していくかが重要な指導課題であることが明らかになった。また、2・5年生間での基本的な文章産出力には大きな違いがないことも示唆され、当初の研究目的であった児童の説明表現力の実態を把握することに関しては成果が得られた。ただし、説明文の適否をどのような測度で評価するかが大きな問題として残り、現在の他者による主観的評価方法から、文章分析やスキーマ理論などを用いた客観的な指標を得るための研究が不可欠であるという問題点が浮上した。現在、この目的に沿って分析枠組みを作成中である。
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