1995 Fiscal Year Annual Research Report
PANの濃度変動からみた東アジア地域からの窒素酸化物の流出
Project/Area Number |
07680548
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
村尾 直人 北海道大学, 工学部, 助教授 (00190869)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山形 定 北海道大学, 工学部, 助手 (80220242)
大田 幸雄 北海道大学, 工学部, 教授 (00100058)
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Keywords | PAN / 測定 / 長距離輸送 / 炭化水素 / 東アジア / 流跡線解析 / 対流圏モデル |
Research Abstract |
PAN(Peroxyacetyl Nitrate)は、対流圏や大陸規模など広域の光化学過程や大気汚染物質の長距離輸送の評価に最適な物質である。本研究では、PANとともに大気中の長距離輸送に関連する各種汚染物質の測定を行い、1990年度冬期〜春期に観測されたPANの高濃度現象との関連を明らかにすることを第一の目的とした。まず、PANの濃度変動と関連する汚染物質として特に重要な炭化水素について、試料補集法および分析法を検討した。すなわち、試料の補集・分析法として常温吸着・熱脱離法を検討し、標準ガスを用いた再現性試験、保存性試験等の試験を行った。その結果、補集管は0℃に冷却することによって十分な補集効率および回収率が得られ、三日程度の保存が可能であることが分かった。このことから、常温吸着・熱脱離法はフィールド測定に適用可能であると考えられる。以上の結果をもとに、2月下旬より札幌郊外の手稲山山頂(高度1,000m)で観測を開始している。観測項目は、PAN、炭化水素、エアロゾル、オゾン、SO_2である。 次に、PANの濃度変動の要因、輸送過程を明らかにすることを目的とした輸送・反応モデル解析および流跡線解析を行った。まず、輸送・反応モデル解析を用いて、人為起源汚染物質の排出がPANの濃度変動に与える影響を検討したところ、NO_xとともに炭化水素、特にアルカン類排出の影響が大きいことが示された。したがって、東アジア地域の光化学環境を理解し予測するためには、今後NO_xとともに炭化水素排出量の正確な把握が不可欠であると思われる。一方、1990年度冬期〜春期に観測されたPANの高濃度現象に関する流跡線解析では、高濃度気塊が多くの場合、中国北部から一定高度で輸送されていることが示された。
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