1995 Fiscal Year Annual Research Report
DNA・配位子・金属イオンの三元複合体の加水分解活性に関する研究
Project/Area Number |
07680635
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
荻野 健治 大阪市立大学, 工学部, 教授 (30089958)
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Keywords | DNA / 加水分解 / 金属イオン錯体 / 制限酵素モデル |
Research Abstract |
本研究はDNA・配位子・金属イオンの三元複合体の加水分解活性を検討することが目的である。アデニン基をメチレン鎖で結合した2-ジピリジルアミン誘導体を新規に合成し、これらの配位子・金属イオン錯体によるアデノシン5^′-三リン酸(ATP)、ウリジン5^′-三リン酸(UTP)及びプラスミドデオキシリボ核酸(DNA)などのリン酸エステルの加水分解活性について検討を行った。 まず始めに、配位子と銅イオンはUV吸収の変化から1対1の強い錯体を形成することを確かめ、ATPの加水分解を配位子及び金属イオン共存下、中性、40℃で反応させ、イオン交換HPLCを用いて生成物ADPとAMPの定量分析を行った。種々の金属イオン錯体の中で、配位子・銅イオン錯体はATPとの濃度比2対1で最大活性を示し、ATPの末端のγーリン酸を位置選択的に加水分解し、ADPを生成することを見出した。銅イオンのみによるATPの加水分解は主にADPを最初に生成し、続いてADPからAMPを生成する。しかし、配位子・銅イオン錯体はADPを生成した後、ADPの加水分解を抑制することが解った。^1H-及び、^<31>P-NMRを用いて調べ、ATPと配位子の塩基間のπ-スタッキングやATPの3つのリン酸基への配位位置が重要であることを示唆している。更に、配位子のメチレンスペーサーの長さはATPやUTPの加水分解の活性と選択性に影響を及ぼすことを見出した。 ついで、プラスミドsuper-coiled DNAと配位子・金属イオン錯体を反応させ、電気泳動によりDNA切断活性を検討し、配位子・亜鉛イオンによりnicked DNAへの切断が効果的に起こっていることを見出した。DNA塩基対にこの配位子のアデニン基がインターカレーターとして挿入し、形成した複合体の亜鉛イオンに配位している水酸基によりDNAの加水分解を引き起こしたと考えられ、一種の制限酵素モデルとして働く可能性を示したものと考えられる。
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