1995 Fiscal Year Annual Research Report
DNA構造特異的結合因子Orpheus/SSRPIによる転写抑制機構の解析
Project/Area Number |
07680747
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
今井 眞一郎 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (20255433)
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Keywords | SSRPI / HMG box / DNA構造 / 転写抑制 / 細胞老化 / 不死化 / シスプラチン / 発癌 |
Research Abstract |
申請者は平成7年度に計画された研究を順調に遂行し、SSRPIの機能解析に必要とされる発現ベクター、レコンビナント蛋白、特異的ポリクローナル抗体を作製した。これらを用いて実験を行い、新たに以下の知見を得た。 1.不死化感受性エレメントを含むcollagenase遺伝子上流域のCAT constructとSSRPIの発現ベクターを、老化前の比較的若い細胞、老化細胞、不死化細胞にコトランスフェクションしてCATアッセイを行った。その結果SSRPIは、collagenaseの発現が認められない老化前の若い細胞と不死化細胞でのみ転写抑制活性を示し、collagenaseの発現が高い老化細胞ではその活性は認められなかった。また、他の不死化細胞としてCOS7細胞でも、同様の転写抑制能が認められた。この活性は、Orpheus結合部位に変異を導入すると認められなくなった。SSRPIの転写抑制能の有無は、Orpheus結合活性の有無と一致していた。 2.SSRPIのmRNAの発現は、細胞老化の過程でほとんど変化せず、不死化後も老化期のたかだか1.5倍であった。これはサウスウェスタン・ブロットによって調べたSSRPI蛋白の発現量の変化と一致していた。 3.Orpheus結合配列をプローブとしたゲルシフトアッセイにおいて、SSRPI特異的ポリクローナル抗体によるOrpheusのバンドのスーパーシフトアッセイを行ったところ、バンドに変化は認められなかった。 以上の研究結果から、SSRPIはOrpheusの本体ではなく、Orpheusとオーバーラップした結合部位を持ち、Orpheusのコファクターとして機能することにより転写抑制に寄与している可能性が考えられた。そこで、当初の研究計画を多少変更して、SSRPIとOrpheusの関係をさらに追究することによってSSRPIによる転写抑制のメカニズムを解析していく予定である。
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