1995 Fiscal Year Annual Research Report
青年期における過去の「いじめ」経験と現在のパーソナリティとの関連に関する研究
Project/Area Number |
07710102
|
Research Institution | Tohoku Fukushi University |
Principal Investigator |
皆川 州正 東北福祉大学, 社会福祉学部, 助教授 (00219685)
|
Keywords | 青年期 / いじめ経験 / いじめの影響 / パーソナリティ / 対人関係のスキル / 自我同一性 / 不適応 |
Research Abstract |
いじめ経験が青年期のパーソナリティの発達に与える影響について明らかにすることを目的として、(1)大学生783名を対象とした質問紙調査、および(2)相談機関(宮城県精神保健福祉センター)で過去5年間にいじめ経験が見られた41事例の調査を行った。 大学生を対象とした調査の結果では、「いじめを行なった」が200名(25.5%)、「いじめを受けた」が263名(36,6%)、「いじめの周囲にいた」が337名(43.0%)見られた。いじめの内容としては、同級生同士で数人が一人を仲間外れ・無視するものが多かった。また、教師が解決に向けて働きかけた場合は約3分の1見られたが、親は全く知らない場合が多かった。本人の対応としては、いじめを行った群ではいじめをしているつもりがなかったか、仲間外れにされるのが嫌で行った場合が多く、現在の気持としては後悔あるいは愉快が見いだされた。いじめを受けた場合では、じっと我慢することが多く、現在の気持ちとしては恐怖・怒り・自己成長が見いだされた。周囲にいた群では、自分がいじめられると思って、あるいは自分には関係ないと思って関わらない場合が多かった。また、いじめを受けた群は、他の群に比べて当時の身体症状・不安と不眠・社会的活動の障害・うつ状態が高く、自己評価が低かったが、現在は群間に差が見られず、いじめの影響は回復可能であることが示唆された。さらに、いじめを受けた群についてその影響を調べると、本人の対応・教師の関わりによって、およびいじめ経験に対するとらえ方(恐怖あるいは自己成長)によって対人関係のスキルの発達に違いが見られた。 事例の調査では、いじめ経験が人間関係に対する恐さと自信喪失につながり、自我同一性の発達が阻害されて不適応状態(不登校や被害妄想)に至ったと思われる事例が多く認められた。
|
Research Products
(2 results)