1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07710253
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
永井 匠 早稲田大学, 教育学部, 助手 (20267470)
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Keywords | 東モンゴル / ダヤン・ハーン / アルタン・ハーン / ホサイ・タブナン |
Research Abstract |
当該研究において中心的な史料となるのは、モンゴル語史料と漢語史料である。モンゴル語史料としては主なものに『アルタン・ハーン伝』、『エルデニイン・トプチ』、著者不明の『アルタン・トプチ』、ロプサンダンザンの『アルタン・トプチ』等があるが、それらをコンピュータに入力してデータベース化した。漢語史料については数が多いので一つ一つ列挙することはできないが、最も中心的な史料となる『皇明実録』、『万暦武功録』等をモンゴル語史料と同様にコンピュータに入力してデータベース化した。このようにデータベース化した史料をもとにして、ダヤン・ハーンが非ボルジギン系の有力な勢力をどのように支配下に入れていったか、ダヤン・ハーンの東モンゴル統一の実態、アルタン・ハーンがダヤン・ハーンによる支配をどのように受け継いでいったのか等の問題、またダヤン・ハーン、アルタン・ハーンの時代にモンゴルに現われた社会集団、政治体の実態・性質について、他民族への遠征、婚姻関係、明朝との関係などの面から考察した。その結果、ダヤン・ハーンが非ボルジギン系の有力な勢力を支配下に入れていく過程では、婚姻関係が重要な役割を果たしていること、また東モンゴル統一の後もこの婚姻関係は重要な意味を持っており、同じ非ボルジギン系の先祖を持つ者の間には特別の協力関係が見られること、ダヤン・ハーン一族と多くの婚姻関係を結び、アルタン・ハーンもその血を引いていると見られるホサイ・タブナンは、当時東モンゴルで1、2を争う有力者であったが、彼が東モンゴルで実権を握った頃から東モンゴルの政策、少なくとも対明政策が変化していること等が明らかになった。
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