1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07720012
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
武田 真一郎 徳島大学, 総合科学部, 助教授 (50222097)
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Keywords | 行政組織法 / 行政庁 / 補助機関 / 行政権限 / 行政責任 |
Research Abstract |
本年度は、まず行政組織の機能に関する法理が従来の行政法理論の中でどのように位置づけられてきたかどうかを考察した。この点について有力な学説は、これまでの行政組織法論は「行政組織の作動の局面」を対象とするかどうかについて必ずしも立場を明確にしてこなかったと指摘している。本研究によれば、その理由としては、(1)伝統的な行政法学は行政組織法と行政作用法を峻別し、行政組織法は内部法に過ぎないとしたこと、(2)伝統的な官庁理論は、行政権限は独任制の行政庁に配分され、行使されると理解したため、多くの補助機関が組織的に事案の処理にあたるという権限行使の実状が法的な観点から注目されなかったこと、(3)事案の処理に対する組織的対応は基本的にいわば「無方式」であり、事案処理における行政組織の機能について一般的な法原則を見いだすことは困難であったことが考えられる。 これに対して、行政組織をめぐる法的問題の全体像を解明するためには、行政組織が権限の行使によって国民の権利義務に影響を及ぼすような外部法的な局面も考察の対象とすべきであり、補助機関の権限と責任、行政組織による事案処理の過程にも法的な検討を行うことが不可欠となる。本研究においては、各種の判例の分析を通してこのような観点から行政組織のあり方を再検討することの意義を実証的に示す作業を継続中である。
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