1995 Fiscal Year Annual Research Report
バイオテクノロジーの発達を背景とした研究成果の法的保護のあり方の研究
Project/Area Number |
07720013
|
Research Institution | Seiwa University |
Principal Investigator |
花村 征志 清和大学, 法学部, 助手 (50265542)
|
Keywords | バイオテクノロジーの法的保護 / 植物新品種 / 動物新品種 / ヒト遺伝子 / ヒトゲノム計画 / 発明 / 特許 / 科学的知見 |
Research Abstract |
1、研究は、日本法および主要諸外国の現在の法制度の下で、バイオテクノロジー成果物の保護がどのようになされているのかを、具体的事例をもとに見る。植物新品種については、改正後UPOV条約が、それまで認められていなかった特許法による保護を認めることから、今まで植物新品種保護法だけにより保護されていたものに対しても、保護し得ることになる。動物新品種については、植物のような特別法(条約)が制定されていないことから、特許法による保護が問題となるが、これを認めた例がある。しかし、伝統的育種方法に基づくため、植物新品種同様、限界が存している。ヒト遺伝子については、現在世界的規模で行われているヒトゲノム計画との関係から、特許法による保護に対してさまざまな議論を生じたが、特許要件を具備するものであれば、化学物質同様、保護を受け得る。 2、次に、バイオテクノロジーの発達を受けて、新たな成果物の法的保護の可能性およびその限界を探る。植物、動物ともに、従来の育種方法による発明要件あるいは特許要件充足性の限界が、ニューバイオテクノロジーにより越えられようとしている。また、遺伝子関連においても、ニューバイオテクノロジーにより可能となる医薬品製造等における将来性から、より早期の保護が求められるに至っている。しかし、発明要件あるいは特許要件、特に産業上利用可能性および進歩性、を充足するか、従来の解釈からは疑問を生ずるものもある。また、保護のあり方について、植物と動物との不均衡を指摘し得る。 3、現在の法制度のもとで限界となる成果物の保護のあり方を、立法論をも考慮して考察する。諸外国の学説には、発明性を満たさない新たな知見に対しても、特許法による保護を主張するものもあるが、産業政策のひとつたる特許法による保護が妥当であるのか疑問もある。そこで、新たな科学的知見を保護する制度の検討を提唱する。
|