1995 Fiscal Year Annual Research Report
ISO衛星を用いた晩期型星の星周ダストエンベロープの空間構造の研究
Project/Area Number |
07740193
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Research Institution | Seikei University |
Principal Investigator |
橋本 修 成蹊大学, 工学部, 助手 (20221492)
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Keywords | 晩期型星 / 恒星進化 / 質量放出 / 星周ダスト / 星周エンベロープ |
Research Abstract |
恒星進化の最末期にある晩期型巨星は、質量放出によって形成された星周ダストエンベロープに囲まれている。星周ダストエンベロープ中の輻射伝達を解くことによって様々な進化段階に相当する多様な物理状態のモデルを計算し、それをデータベースの形に整理するシステムを開発した。これを用いて晩期型巨星における全ての進化段階を網羅する膨大なモデル計算を行い、晩期型巨星モデルのデータベースを構築した。このデータベースを用いて赤外線観測データなどを解析することによって晩期型天体の進化状況を決定することが可能になった。 モデルから星周ダストエンベロープの見かけの空間構造を求め、高空間分解能の観測から星周ダストの実際の空間分布を決定する手法を確立した。星周エンベロープは膨張しているため、その空間分布には質量放出の時間的変化が反映されている。したがって、星周ダストエンベロープの高空間分解能観測から質量放出をともなう晩期型天体に対して具体的な進化の情報を直接得ることが可能になったことになる。 モデルを用いてIRASデータを解析することによって、R Hyaなどのいくつかの晩期型巨星では質量放出が最近数百年以内に停止している可能性が高いことが明らかになった。この質量放出の停止は恒星内部の熱パルスとの関係が示唆されており、最晩期の恒星進化の包括的理解にきわめて重要な結果であると考えられている。 1995年11月にISO(赤外線宇宙天文台)が打ち上げられ現在観測の段階となっている。遠赤外線で星周ダストエンベロープの空間構造を観測する予定になっており、データが入手され次第直ちに上記モデルを用いた解析を行う手順となっている。
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