1995 Fiscal Year Annual Research Report
単一サイズナノチューブのESR法及びラマン散乱分光法による研究
Project/Area Number |
07740239
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高橋 英樹 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (40261507)
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Keywords | ナノチューブ / 炭素クラスター / ESR / ラマン散乱分光 |
Research Abstract |
アーク放電法によってナノチューブを生成する際、炭素電極中に混合する金属にFe/Ni、 Co、 Laを用いると、Fe/Niの場合は1.1nmの単層チューブ、Coの場合は1.3nmの単層チューブ、Laの場合は1.6nmの単層チューブが生成されることを電子顕微鏡によって見いだした。それらのナクチューブの結合状態をラマン散乱分光法によって調べた結果、単層チューブのラマンピークはグラファイトで観測されたピーク位置の両側に分裂して観測された。ラマンピークの分裂を周期的境界条件によって説明すると、この分裂の幅はグラファイト一層を円筒状に閉じた場合の円周の長さ、すなわちチューブの直径と反比例する。このことからラマンピークの分裂の大きさがFe/Niで一番大きく、Co、 Laになるにしたがって小さくなるのは、チューブ直径がこの順に大きくなるためと解釈出来る。また、アーク放電容器内の成長場所の異なる単層ナノチューブのラマン散乱スペクトルを解析すると、陰極からの距離が大きくなるほど分裂の幅は小さいことを見いだした。これは陰極からの距離が大きい場所ほど直径が大きい単層ナノチューブが成長したと考えられる。以上から単層ナノチューブの直径を制御する方法として陽極内の金属を変化させる方法と陰極からの距離を変化させて採取する方法の二つの方法を見いだした。金属を陽極に混合して作製したナノチューブをESR分光した結果、Fe/Ni、 Co、 Laの順にマイクロ波の吸収が大きいことを見いだした。今後の課題としてはサイズを制御した単層ナノチューブを化学的に精製する方法を見いだすことがあげられる。
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