1995 Fiscal Year Annual Research Report
強磁場下における半導体量子細線の電気伝導状態の解明
Project/Area Number |
07740267
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Research Institution | Sendai National College of Technology |
Principal Investigator |
鈴木 達夫 仙台電波工業高等専門学校, 助手 (60270203)
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Keywords | メゾスコピック糸 / 量子細線 / 量子ホール効果 / ランダウ準位 / 端状態 / 強磁場 / 量子輸送現象 / Chklovskii |
Research Abstract |
1.強磁場下の量子細線に定常状態の電流が流れている場合の電子状態を、電子の静電エネルギーを考慮したセルフコンシステントな数値計算を行うことで求め、閉じ込めポテンシャル形状、電子密度分布形状、エネルギーサブバンド構造等の物理量を計算した。定常電流が流れている状態のモデルとしては、(1)電流一定の平衡状態、(2)化学ポテンシャルの勾配一定、(3)細線左右で異なった化学ポテンシャルの3つの場合を考えた。計算の結果、量子細線に電流が流れている場合の電子状態は、電流の流れていない平衡状態の電子状態とは大きく異なることを見いだした。非平衡電流からの遮蔽効果をきちんと考えると、量子ホール効果に関して従来まで唱えられてきた端電流による描像は、現実的には単純な形では実現されえないということがわかった。量子細線に電流が流れる場合の量子ホール効果状態を理解するためには、きちんとしたセルフコンシステントな計算を必要とすることがわかった。このことは、電流が流れている状態をモデルとして取り入れるのではなく、より現実的な形で考慮して計算しなければならないことを意味している。今後は、弾性散乱や非弾性散乱の効果をボルツマン輸送方程式の形で取り入れて、強磁場下の量子細線に非平衡電流が流れている場合の電子状態を計算し、量子ホール効果状態でのホール電場がどのような形で形成されるのかを研究する計画である。 2.強磁場下の量子細線の電子状態が、温度の変化に伴いどのように変化するかをセルフコンシステントな数値計算を行うことで求めた。その結果、閉じ込めポテンシャル形状等は温度変化に大きく影響を受けることを見いだした。計算の収束手法を改善することで、極低温での電子状態も求めることが可能となった。その計算結果から、量子細線の電子状態は、従来まで考えられてきたChklovskiiらのモデル結果とは異なることを見いだした。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 鈴木達夫: "連立非線形方程式の高速収束解法“ブロイデン第二方法"のライブラリプログラムの開発" 仙台電波工業高等専門学校研究紀要. 第25号. 85-92 (1995)
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[Publications] Tatsuo Suzuki etal.: "Self‐Consistent Resultsin Quantum Wires in Magnetic Fields: Temperature Effects" Physica B. (to be published). (1996)