1995 Fiscal Year Annual Research Report
多重極限下における輸送現象測定のための微小試料の電極形成技術その開発
Project/Area Number |
07740304
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
岡山 泰 佐賀大学, 理工学部, 助手 (20264145)
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Keywords | スポットウェルダー / クロックIC / 電力増幅 / 双眼実体顕微鏡 / 電極 / シュブニコフ・ドハース効果 |
Research Abstract |
本研究は特に、下記の1、2の項目に対して重点的に行われ、以下に示す実績が得られた。 1.スポットウェルダー本体の回路設計 (1)クロックICによって発生されたクロックパルスを大型Power Mos FETトランジスタによって電力増幅することで大電流を発生させる。 (2)点溶接の制御はクロックパルスの振幅を一定にしてその周期を変化させること、即ち通電時間の長短によって行われる。 2.溶接ホルダーの設計 (1)簡易型溶接ホルダーを作製し、微小試料とリ-ド線(〜15μmφから50μmφ)とが点溶接され、電気的にも強度的にも良好な電極が形成されることを実証する。 項目1に関しては回路の設計から始めたにも関わらず、ほぼ満足のいく性能を有するスポットウェルダー本体が得られ、当初の研究目的は十分に達成された。今後の課題としては、溶接点の制御をクロックパルスの周期だけでなく、その振幅も変化させることで更に、性能の向上をはかる。問題は項目2であったが、双眼実体顕微鏡と組み合わされたXY微動ステージ上に溶接ホルダーを装着し、試験的に微小試料(〜0.7mm×0.4mm×0.3mm)を固定して動作性能を調べた結果、ほぼ目的とする箇所に溶接針を持っていくことが出来た。だが、実際に金線(〜25μmφ)を張って溶接する際、どうしても手ぶれの為に、これを簡便にしっかりと固定することがやや困難であり、残った金線の処理も熟練を要しことから、汎用性という面では問題が残る。これに関しては神経生理学で試用されるX・Y・Z、3次元動作の液圧微動マニュピレータに溶接針を組み込めば解決可能である。実際に上記のシステムをグローブボックスに組み込み、不活性ガスの雰囲気中でCeAs,CePに対して電極付けを行ったところ、強度的にも電気的にも非常に良好な電極が形成された。特に、高圧容器に組み込まれたCeAsに対してシュブニコフ・ドハース(SdH)効果の実験を行った結果、個化した圧力媒体に囲まれた環境下であるにも関わらず、明瞭なSdH振動が観測され、この電極形成法の有用性が実証された。
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