1995 Fiscal Year Annual Research Report
対流圏界面付近の中間規模大気波動の地域・季節特性と維持メカニズムに関する研究
Project/Area Number |
07740384
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐藤 薫 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (90251496)
|
Keywords | 中間規模波動 / 対流圏界面 |
Research Abstract |
Satoらにより、対流圏界面付近の中間規模波動(周期1〜2日、東西波長1000〜3000km)が春季日本上空に卓越することが報告された。本研究では、この波動のグローバル分布を6時間ごとのECMWF客観解析データ1990年1年分を用いて解析すると共に、維持メカニズムに関する理論的考察を行なった。 ・位相及び振幅の緯度時間断面図を作成し、時空間スペクトル解析を行なった所、中間規模波動は、強さは変動するものの経度、季節に依らずグローバルに存在すること、亜熱帯ジェットの高緯度側で振幅が大きいこと、位相速度は、冬には20m/sと速く、夏には10m/sと遅いことがわかった。強度については、1〜2月に西太平洋を除いた広い経度帯で、春には西太平洋、大西洋で、10月以降はどの経度帯でも大きいといった地域特性が存在する。 ・中間規模波動の卓越する亜熱帯ジェットの高緯度側の圏界面付近は、西風の鉛直シア-が正であるので、準地衡風渦位方程式の復元力に対応する背景場の渦位の南北微分(q^^-_y)が局所的に大きくなっている。そこでq^^-_yの鉛直構造を井戸型に近似してSchrodinger方程式を解く要領で井戸にトラップされた中立モードを求めた。井戸の幅、西風の鉛直シア-などの依存性を調べた結果、圏界面付近での浮力振動数の急激な変化が中立モードの東西波長を大きくコントロールすることが分かった。得られた中立モードは、Satoらにより報告された中間規模波動の特徴をよく説明する。 これらの結果は1995年日本気象学会春季、秋季大会でそれぞれ発表した。今後、解析期間を延長して季節特性の普遍性や、理論の妥当性を明らかにすると共に、より現実的なq^^-_yの鉛直構造、緯度鉛直構造での波動の振る舞いを理論的に検討していく予定である。
|
-
[Publications] K, Sato, H. Hashiguchi, and S. Fukao: "Gravity waves and turbulence associated with cumulus convection observed with the UHF/VHF clear-air Doppler radars" J. Geophys. Res.100. 1-2 (1995)
-
[Publications] K, Sato, F. Hasegawa, and I. Hirota: "Short-period disturbances in the equatorial lower stratosphere" Proceedings of Tenth Conference on Atmospheric and Oceanic Waves and Stability. 100-101 (1995)
-
[Publications] I. Hirota, K. Yamada, and K. Sato: "Medium-scale travelling waves over the north Atlantic in wintertime" J. Met. Soc. Japan.73. 1175-1179 (1995)