1995 Fiscal Year Annual Research Report
Nd同位体年代学における変成岩の平衡条件の基礎研究
Project/Area Number |
07740427
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
川野 良信 佐賀大学, 教育学部, 講師 (60253572)
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Keywords | Nd同位体 / 年代学 / 変成岩 |
Research Abstract |
申請者は第36次南極観測隊として東南極エンダービ-ランド,リ-セルラルセン山の地質調査を行った.リ-セルラルセン山は世界でも最古の岩石が露出する地域として注目されており,また非常に高温高圧下で変成作用が働いた地域としても知られている.調査地において距離5メートル間で系統的にサンプリングを行った.平成7年度科学研究費補助金(奨励研究(A))により購入したマルト-社製テクニカルカッターにより岩石から適所(5cm,20cm,45cm,63cm,78cm,90cm,490cmの各点)を切り出し,切断試料を粉砕した.岡山大学固体地球研究センターに於いて粉砕した岩石試料からSr,Ndを抽出し,同位体比および定量分析を行った. 測定されたSr同位体比は0.705977〜0.707300で,Nd同位体比は0.512137〜0.512223であり,いずれもアイソクロンは構成されなかった.Sr同位体比は5cm〜90cmの地点では大きな変動はないが,490cm地点で顕著に大きくなる.このことからSr同位体比は変成作用で極狭い範囲では平衡であるが数メートルのオーダーでは不均質になっている可能性がある.一方,Nd同位体比は5cm〜490cmの各点でも大きな変動はなく,Sr同位体比に比較して変成作用による元素の移動が小さい可能性が示唆される. 今回の議論は現在の同位体比であったが,今後は各点から鉱物を分離して各点毎に同位体初生値を求め議論を進める必要がある.
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