1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07740588
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
伊奈 康夫 国立遺伝学研究所, 集団遺伝研究系, 助手 (30271498)
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Keywords | 分子進化の中立説 / 集団遺伝学 / 仮説検定 |
Research Abstract |
分子レベルの進化機構として、分子進化の中立説は、種内変異と種間変異を統一的に説明する有力な仮説である。分子進化の中立説を帰無仮説として、種内変異のデータと種間変異のデータを用いた統計的検定法が、Hudson,Kreitman and AguadeとFu and Liにより考案されている。これらの方法では、集団が平衡状態にあること、集団に地理的構造が無いことを仮定している。しかし、現実の生物集団がこの仮定を満たしているとは、必ずしも限らない。そこで、集団が平衡状態にない場合と地理的構造がある場合に、これら2つの方法で中立仮説の統計的検定に用いられる統計量がどのような影響を受けるかについて、コンピュータ・シミュレーションを用いて研究を行った。コンピュータ・シミュレーションでは、中立モデルを仮定した。 Island modelを用いて、集団構造がHudson,Kreitman and Aguadeの方法とFu and Liの方法で用いられる統計量に与える影響について調べた。どちらの方法についても、サンプリングが重要であるが、特に、Hudson,Kreitman and Aguadeの方法については、1つの遺伝子座については全集団からサンプルし、もう1つの遺伝子座についてはある1つの分集団からサンプルした場合に、中立仮説の棄却率が高くなる。 集団のサイズが変化した場合場合について、Hudson,Kreitman and Aguadeの方法とFu and Liの方法で用いられる統計量がどのような影響について調べた。集団のサイズ変化が起こった時期が中立仮説の棄却率に大きく影響する。
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