1995 Fiscal Year Annual Research Report
広範囲な非比例・多軸負荷状態下における低サイクル疲労寿命評価法の一提案
Project/Area Number |
07750100
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
伊藤 隆基 福井大学, 工学部, 助手 (40242581)
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Keywords | 低サイクル疲労 / 組合せ応力 / 非比例負荷 / 寿命予測 / 破壊・クライテリオン / 構成式 / 転位 |
Research Abstract |
本研究は目的は広範囲な応力・ひずみ状態の非比例・多軸負荷下で使用される材料の低サイクル疲労強度評価法の開発にある.熱応力と機械的応力の重畳により主応力・主ひずみ軸方向が時間的に変化する非比例負荷状態にある構造部材の強度設計には,従来ASME Boiler & Pressure Vessel Code Case N-47中の設計基準が使用されてきたが,最近の研究成果によるとこの設計基準では必ずしも安全側の設計とはならず,時によっては危険側予測を与えることが指摘されてきた.本研究では,これまでに申請者が実施した広域な比例および非比例多軸負荷下での豊富な低サイクル疲労試験結果と他の研究機関で実施された試験データを基に,非比例負荷による寿命低下のメカニズムの解明と適切な計算等による解析を通じて,同負荷状態下でのASMEの設計基準に代わる低サイクル疲労強度評価法を提案した. 非比例・多軸低サイクル疲労寿命評価法の確立に重要な因子は,(a)非比例負荷による応力増加量の的確な評価,(b)その負荷経路依存性および材料依存性の適切な定量的評価であることが判明した.すなわち,(a)および(b)を正確に評価することが寿命評価法を確立する上で重要な因子であることがわかった.非比例負荷による寿命低下と密接な関係にある同負荷による応力が増加する現象は,材料内部における転位の移動を含むすべり系の活動が結晶粒界や交差すべりなどによる周囲からの様々な拘束に起因すると考えられる.本研究では,これらの複雑な微視的挙動を提案した材料および負荷経路依存性を表す2つのパラメータαおよびf_<NP>によって定量的に評価した.さらに非比例・多軸負荷下での低サイクル疲労寿命を統一的に評価しうるαおよびf_<NP>を組み入れたたずみ基準の寿命評価パラメータを提案した.
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