1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07750694
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
木内 望 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (80251346)
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Keywords | 住宅計画 / 東京都 / 住宅政策と都市計画の連携 |
Research Abstract |
東京都足立区における都営住宅の建替への地元自治体の関わりの中から、住宅行政と都市計画行政の連携・対立の構造を把握した。 その結果、1)【encircled1】区のとった対応が近年まで開発指導行政の枠内にとどまっていたことと、2)それが当初の、【encircled1】「団地お断り」から、【encircled2】戸数抑制とハコモノ施設の要求、【encircled3】物的基盤整備(道路・公園)への関心、【encircled4】景観・住宅のあり方の模索、へと変化していること、3)いずれの段階でも、まちづくり計画等、区の計画の中で位置付けを明確にするように努力していること、を明らかにした。そして、都営住宅が高密度に立地し、建替が集中的に行なわれた地区をとりあげ検証した結果、このような地区では、ハコモノ施設や物的基盤の整備が地域全体の整備に相当の効果をあげていることが示された。また、足立区の住宅供給主体との対応の変化の中で、現在抱える課題は、1)「53年協議」や「地域開発要綱」の枠外で生じてきた施設需要と、整理・統合の対象となりつつある既存併設施設をの問題を、今後の協定にどう位置づけるか、2)物的基盤を中心としたまちづくりへの貢献が、都の「地域開発要綱」等にどう位置づけられるか、3)住宅のあり方といった新しい課題に対してその根拠・規準の設定に向けて区の政策をいかに体系化するか、4)まちづくりや住宅政策の実現に公的住宅ストックを活用するという立場から、いかに区が従来の受動的立場を脱却し主体的に取り組めるか、の4点にまとめられた。 東京都区部における住宅行政の伝統的構図は、住宅建設など住宅供給に関する行政は都が執り行ない、特別区は身近な住環境の整備に関する行政のみに専念するとのものであり、両者は行政事務を分担しつつもときに思惑を違え、都営住宅の建替事業においても、両者の協調・対立関係を確認することができた。また近年では、地価高騰がもたらした首都圏における住宅事情の逼迫化や、他方分権の動きなどを背景に、特別区が区営住宅の建設・借り上げ住宅制度・都営住宅の移管など、住宅供給を含む住宅政策の広範な領域に踏み込みつつある。そして、住宅マスタープランの策定や都市計画の市町村マスタープランの策定により、その体系化及び都市計画との連携が課題となっていることも明らかとなった。
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