1995 Fiscal Year Annual Research Report
栄養状態に応答したインスリン様成長因子ImRNAの安定性調節機構の解析
Project/Area Number |
07760131
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
竹中 麻子 東京大学, 農学部, 助手 (40231401)
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Keywords | タンパク質栄養 / IGF-I / mRNA stability |
Research Abstract |
インスリン様成長因子I (IGF-I)は、体タンパク質の代謝制御において中心的役割を果たしていると考えられているホルモンであり、その生合成量や血中濃度は、タンパク質栄養状態に応答して変化する。現在までに、我々は、タンパク質栄養状態の悪化に伴って肝臓におけるIGF-ImRNAの安定性が低下し、IGF-Iの生合成量が減少、その結果血中IGF-I濃度が低下するという制御機構の存在を強く示唆する一連の結果を示してきた。本研究では、タンパク質栄養状態の低下に伴ってIGF-ImRNAの分解活性が上昇するメカニズムを解明することを目的として、まずIGF-ImRNAの安定性制御領域の同定を試みた。 ラット肝臓よりpolyA RNAを調製し、Reticulocyteを用いたin vitro translationの系に加えた際の分解の様子を、Northern blottingにより解析した。その結果、長い3'untranslated region (UTR)をもつ約7.5kbのmRNAが特異的に分解され、この領域がIGF-ImRNAの安定性を制御していることが示された。さらに狭い領域の同定を行うため、IGF-IcDNAの3'UTRをいくつかの断片に分けてクローニングし、mRNAが比較的安定であることが知られているβ-globinのcDNAの下流に連結したプラスミドを構築した。SP6 promoterによりこのキメラmRNAをin vitroで合成し、先と同様にin vitro translationの系で分解の様子を検討中である。今回新たに開発した無細胞系でのmRNA安定性の検討法は過去にほとんど報告がないが、mRNAの構造とその安定性の関連を検討する上で非常に有用であることを示す結果を得ている。
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