1995 Fiscal Year Annual Research Report
メダカ初期胚深部細胞の偽足伸長と細胞移動における分子生理学的研究
Project/Area Number |
07770031
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
重本 尚 神戸大学, 医学部, 助手 (40178869)
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Keywords | メダカ / 初期胚 / 偽足 / 細胞移動 / 細胞内カルシウム |
Research Abstract |
脊椎動物胚神経発生は襄胚形成過程で未決定外胚葉が中胚葉の裏打ちによる誘導のためと考えられている。この過程では細胞移動が適切な細胞相互作用のために重要であると考えられる。本研究では、胞胚期後期の単離深部細胞の一部(約80%)において細胞接着因子であるfibronectionをionophoresisにより細胞体の一部に局所投与した際に数十秒の時間経過で投与部位に一致してpseudopodが伸長が観察された。細胞体の直径は20-25μmであるがpseudopodは約5μmである。このpseudopodは出現後数十秒間のうちに消退するがこの際に細胞全体がpseudopodの方向へ移動することがビデオカメラで観察された。futa-2を用いた実験では、fibronection投与により細胞内Ca濃度は投与部位において顕著に増加するが数十秒の時間経過で再び減少する。このCa濃度変化は細胞外Ca-free溶液中でも観察された。この細胞内Ca濃度の減少に一致してpseudopodの消退及び細胞移動が観察されたため、細胞内Ca濃度増加によるアクチン解離によりpseudopodが伸長し、続くCa濃度減少によりアクチンが再重合し、細胞が移動すると考えられる。Na-free細胞外液中では細胞内Ca濃度は持続的に増加した。アクチン再重合による細胞移動にNa-Ca exchagerによるcaの細胞外への汲出しがCa濃度減少に必要であると考えられた。またBCECFよる計測で、細胞内pHも一過性に局所的に約0.1上昇した後Caと同様の時間経過で減少し、アクチン解離とそれに続く再重合を促進すると考えられた。細胞内Ca濃度はfibronectionを投与されていない部位でも軽度の上昇が観察されることがあるが、pHの局所的上昇はアクチン解離を局所的に限局する役割があり、pseudopodの局所的伸長及び特定の方向への移動に寄与すると考えられる。このCa濃度とpHによるpseudopodの2重の制御は胚細胞が実際に胚体中でfibronectionの濃度勾配を認識し、特定方向へ移動するために極めて重要であると考えられた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Akira Terashima: "External anion dependency of calcium-dependent chloride current in deep blastomeres of medaka embryo early blastulae." Japanese Journal of Physiology. 45Suppl.S129-S129 (1995)
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[Publications] Takashi Shigemoto: "Ca^<2+> -and external anion--dependent Cl^- channel of medaka deep blastomeres atearly blastula stage" Forth IBROWorld Congress of Neuroscience'95. A2.27-A2.27 (1995)