1995 Fiscal Year Annual Research Report
ヘム結合23kDa蛋白の酸化ストレスに対する抗酸化作用に関する研究
Project/Area Number |
07770090
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
岩原 信一郎 日本医科大学, 医学部, 助手 (50271341)
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Keywords | ヘム / アンチオキシダント / 酸化ストレス / ヘムオキシゲネース |
Research Abstract |
1.ヘム結合23kDa蛋白(HBP23)cDNAを発現ベクターpET3cに挿入し大腸菌(BL21)を用いて大量発現させた。その結果、発現させたHBP23(rHBP23)は分子量、部分アミノ酸配列もnativeなものと同じであった。また、ヘムとの親和性もKd=100nMとnativeなもの(Kd=55nM)とほぼ同様の値を示した。 次に構造上重要と思われるシステインに点変異をおこした変異HBP23を発現させた。その結果チオール特異的アンチオキシダント(TSA)との相同性から重要と思われていたシステインはそのS-S結合の反応性の比較により保存されていることがわかった。しかし、ヘムとの親和性は変異HBP23とnativeなものと大きな違いはなくヘムとの結合は少なくともシステインとは関係ないと思われ、むしろその疎水性な部分が関与していると思われた。 2.肝癌由来の培養細胞を用い、ヘムとカドミウムによるHBP23mRNAの誘導について調べた。その結果、ヘムおよびカドミウムにより誘導がかかることが確認された。しかも、その誘導の仕方はヘム分解に関わるヘムオキシゲネースの誘導の形式と同様の反応を示した。このことはHBP23がヘムオキシゲネースと同様に何らかのヘム代謝に関与している可能性を示唆している。一方、ヘムオキシゲネースはそのビリルビンを介した抗酸化作用が考えられている。このヘムオキシゲネースと同様にHBP23が誘導されることは相異なる機構の抗酸化作用を互いに担っていることが期待され、現在研究中である。
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