1995 Fiscal Year Annual Research Report
新手法を用いた、C型肝炎ウイルスの構造蛋白の抗原構造解析
Project/Area Number |
07770230
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute for Neuroscience |
Principal Investigator |
平林 義弘 (財)東京都神経科学総合研究所, 微生物学免疫学研究部門, 主任研究員 (40250203)
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Keywords | C型肝炎ウイルス / コア蛋白 / エピトープ / 抗原構造 / 合成ペプチド |
Research Abstract |
C型肝炎ウイルス(HCV)は、構造蛋白として一つのコア蛋白と二つのエンベロープ糖蛋白を有している。コア蛋白のアミノ酸配列はHCV変異株間でよく保存されており、その高次構造および抗原構造の解析は、HCVの生態や肝炎の病態、防御免疫の解明に重要であると考えられる。そこで本研究では、オ-センティックなコア蛋白の抗原構造を解析した。 大腸菌発現コア蛋白をマウスに免疫して数十種類の抗コア単クローン抗体を作製し、このうちHCV感染者の検体中のオ-センティックなコア蛋白を認識できるもの39種類を、患者肝組織破砕物を用いたキャプチャーPCR、および患者血清を用いた競合的結合阻止試験によって選択し、これらを以後の解析に供した。各抗体間でのコア蛋白に対する競合的結合阻止試験を、表面プラズモン共鳴現象を利用した抗原抗体反応解析システム(ファルマシア社、ビアコアシステム)を用いて行ない、この結果から、これらの抗体が認識しているコア蛋白上のエピトープはA〜Gの7群に分類することができ、さらにA,D,F群、C,E,G群およびB群がそれぞれ一つずつの抗原ドメインを形勢していることが明らかになった。またコア蛋白の予測される一次構造に従って全体をカバーするように多数の合成ペプチドを作製し、マルチスキャンニング法により解析した結果、A,F,G,E群のエピトープは、それぞれコア蛋白のN末端から28〜37、43〜48、71〜77、104〜111残基の付近に位置するリニアエピトープであることが判明した。一方、D,C,B群はコンフォーメ-ショナル(アセンブルド)エピトープである可能性が示唆され、合成ペプチドライブラリーを用いて解析を進めている。 本研究では、単クローン抗体が認識するエピトープのグル-ピングを通じて、オ-センティックなコア蛋白の抗源ドメイン構造を解析することができた。以上の研究成果の一部は、第43回日本ウイルス学会総会(平成7年10月)にて発表した(現在、英文学術誌投稿準備中)。
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Research Products
(1 results)