1995 Fiscal Year Annual Research Report
転移RNAを確認する新しい自己抗体の臨床的・病因的意義に関する研究
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07770342
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
村松 麻美 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (40265814)
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Keywords | tRNA / 抗tRNA抗体 / 自己抗体 / 自己免疫疾患 / 膠原病 / 大腸菌 |
Research Abstract |
【目的】膠原病患者血清におけるtRNAを認識する抗体(抗tRNA抗体)をスクリーニングし,さらに大腸菌tRNAおよびそのミュータントを用いて,かかる抗tRNA抗体を認識するtRNAの構造およびエピトープの解析を行い,その臨床的病因的意義および産生機序の追求を目的とした. 【方法】1)^<32>P-標識HeLa細胞抽出物,および脱蛋白RNAを抗原とする免疫沈降法(Lerner-Steitz法)により膠原病患者血清をスクリーニングし,tRNA自身と反応する抗tRNA抗体を検出した.2)クローニングされた大腸菌tRNAおよび,そのミュータントを抗原に用いた免疫沈降法により抗tRNA抗体が認識するtRNAの特異構造を検討した.3)抗tRNA抗体の自己免疫疾患における出現頻度,およびその臨床的意義を検討した. 【結果】1)膠原病患者1460例の血清をスクリーニングし,tRNAを沈降する血清49例を見いだした.このうち脱蛋白HeLa-tRNAを沈降する抗tRNA抗体陽性4例を検出した.2)これら4例の血清は大腸菌tRNAとも反応した.大腸菌のミュータントを用いたエピトープの解析により,抗tRNA抗体は全tRNAに共通し,DループとTψCループが結合して形成される立体構造(L字構造)を認識することが明らかになった.3)抗tRNA抗体は肺線維症を持つシェ-グレン症候群1例,SLE3例に検出された. 【考察】抗tRNA抗体はいままでに報告のない新しい自己抗体である.抗tRNA抗体はヒトおよび大腸菌由来のあらゆるtRNAを確認し,種の進化を通じて保存されている特定の構造を認識すると考えられた.この事実は細菌感染が自己抗体産生ならびに自己免疫疾患発症に関わるという可能性を示唆する.今後かかる抗tRNA抗体の反応様式をさらに詳細に検討することが,自己抗体産生機序および膠原病の原因解明に役立つと考えられる.
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Research Products
(1 results)