1995 Fiscal Year Annual Research Report
神経ベーチェット病の発症要因としての中枢神経内免疫学異常の解析
Project/Area Number |
07770343
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
小口 洋子 帝京大学, 医学部, 助手 (00271289)
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Keywords | ベーチェット病 / 神経ベーチェット病 / 脳脊髄液 / IL-6 / TNF-α / HLA-B51 / シクロホスファミド / メソトレキセート |
Research Abstract |
本研究においては、難病である神経ベーチェット病の病態を脳脊髄液中のサイトカインの動向から重点的に検討するとともに、免疫抑制剤の作用についても合わせて解析を行った。その結果、特に進行性の精神神経症状を示す症例群においては、脳脊髄液中のIL-6が持続的に高値を示すことが確認された。しかしながら、これらの患者においては、脳脊髄液中の別の炎症性サイトカインであるTNF-αは必ずしも高値を示さぬ例が約半数存在し、進行性神経ベーチェット病の病態形成上中心的意義を担っているのはIL-6であることが示唆された。この脳脊髄液中のIL-6活性は、血清中IL-6、Qアルブミン値、脳脊髄液中の細胞数のいずれとも相関しなかった。一方、進行性神経ベーチェット病においては血清中IL-6活性は対照群と比して差がなかった。またQアルブミン値の上昇もごく軽度で、少なくとも蛋白に対する脳血液関門の機能に大きな障害のないことが明らかとなった。進行性神経ベーチェット病患者の約90%がHLA-B51陽性であったが、フローサイメトリーで検討した範囲で末梢血Tリンパ球のVβ鎖のパターンに特定の変動は見られなかった。免疫抑制剤のうちで、シクロホスファミドは脳脊髄液IL-6を低下させなかったが、メソトレキセートは少量でこれを著明に抑制した。今後は、この2つの薬剤の作用の差異を解明することにより、神経ベーチェット病の病態の解明の糸口がつかめるものと期待される。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Oguchi H, et al.: "Familial systemic lupus erythematosus: analysis of extended haplotypes of major histocompatibility complex antigens." Lupus. 4. 243-244 (1995)
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[Publications] 一志邦夫他: "Stevens-Johnson症候群を併発し、シクロフォスファミドパルス療法が奏功したCNSループスの1例" 関東リウマチ. 29. 197-207