1995 Fiscal Year Annual Research Report
胃主細胞ペプシノーゲン発現遺伝子における細胞内メカニズムの解明
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07770371
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
岡山 直司 名古屋市立大学, 医学部, 助手 (10264714)
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Keywords | モルモットペプシノーゲン / メッセンジャーRNA / RT-PCR / キャピラリー電気泳動 / サイクリックAMP / 細胞内カルシウム / プロテインキナーゼC / Aキナーゼ |
Research Abstract |
【実験方法】研究報告書では、検討材料としてモルモット単離胃主細胞を用い、またmessenger RNA(mRNA)の検出方法としてノーザンブロット法を用いるとしたが、単離細胞からのtotal RNA抽出は回収率が悪く、またノーザンブロット法は微量のmRNAを検出できず、定量化が難しいため、検討材料として単層培養したモルモット胃主細胞を、またmRNAの検出法としてreverse transcription-polymerase chain reaction(RT-PCR)を用い、mRNAを定量化する目的でキャピラリー電気泳動装置を使用した。 【実験結果】モルモットペプシノーゲンmRNAの発現における各種分泌刺激剤の作用を検討した。細胞内cyclic AMP(cAMP)を上昇させるdibutyryl cAMPは、10^<-3>M濃度では24時間で、10^<-2>M濃度では12時間以上の刺激でmRNAを有意に増加させた。同様の作用を有するforskolinも、10^<-5>-10^<-4>M濃度24時間刺激で有意の増加がみられた。しかし、細胞内カルシウムを上昇させるcarbamylcholine chloride(10^<-4>-10^<-3>M濃度)およびionomycin(10^<-6>M濃度)、あるいはprotein kinaseCを直接活性化させる12-ο-tetradecanoylphorbol-13-acetate(10^<-8>-10^<-7>M濃度)はいずれも24時間刺激でmRNAを増加させなかった。以上使用した刺激剤は、30分以内にペプシノーゲン分泌を有意に亢進することは既に確認してある。また10^<-3>M dibutyryl cAMP24時間刺激によるmRNAの増加は、A-kinase抑制剤であるRp-adenosine3′,5′-cyclic monophosphothiate sodium(Rp-cAMPs)10^<-6>-10^<-5>M濃度にて有意に抑制された。現在、forskolin刺激によるmRNA増加作用の時間的経緯およびその作用に対するRp-cAMPsの影響について検討中である。 【結論】以上の結果より、モルモット胃主細胞におけるペプシノーゲン遺伝子の発現すなわちペプシノーゲン合成は、細胞内cAMPおよびそれにより活性化されるA-kinaseによってupregulateされ、細胞内カルシウムあるいはprotein kinaseCは遺伝子発現に影響を及ぼさないのではないかと推測された。
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