1995 Fiscal Year Annual Research Report
癌抑制遺伝子による肝細胞の細胞回転制御におよぼす胆汁酸の影響に関する研究
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07770372
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
阪本 善邦 京都府立医科大学, 医学部, 助手 (80254366)
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Keywords | 胆汁酸 / 肝細胞 / 癌抑制遺伝子 / アポトーシス |
Research Abstract |
胆汁酸はホルボールエステルと類似した作用を持つ内因性tumor promoterであることが報告されているが,DNA合成に対する影響は不明な点が多い。そこで今回,本研究代表者は,細胞周期のG1 checkpoint周辺におよぼす胆汁酸の影響を調べる目的で,胆汁酸による癌抑制遺伝子の転写および蛋白レベルでの発現について検討した。 初代培養ラット肝細胞に10〜100μMのdeoxycholic acid(DCA)を添加し,癌抑制遺伝子p53およびCDK inhibitor p21のmRNAの発現をAGPC法およびRT-PCR法を用いて半定量を行ったところ,p53mRNAの発現はDCA投与の有無で変化なかったが,p21mRNAの発現は,100μMのDCAの投与で約2倍の発現増加を認めた。一方,p53蛋白の発現をimmunoprecipitation法により検討したが,一定の傾向を得なかった。初代培養細胞間の差が大きく,現段階ではtechnicalな問題も含め再検討が必要と考えられた。本研究過程において,胆汁酸が細胞回転制御を通じてapoptosisに影響しないかを検討するため,単球系白血病細胞株U937に100μMのDCA存在下にadriamycinを投与したところ,apoptosisは約50%抑制された。胆汁酸は,従来報告されたDrug transportに対する影響以外に直接apoptosis機構に影響している可能性があり,今後検討予定である。
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