1995 Fiscal Year Annual Research Report
C型慢性肝炎に特徴的に認められるC3d結合免疫複合体とその免疫調節作用
Project/Area Number |
07770393
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
原 正樹 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (40241062)
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Keywords | 慢性C型肝炎 / HCV-RNA / 免疫複合体 / C3d |
Research Abstract |
慢性C型肝炎で高頻度に認められるC3d結合性免疫複合体の臨床的意義、その構成成分の解析、免疫学的作用について検討し、以下の新たな知見が得られた。尚、検討には経過観察中に採血が必要と思われた際に得た血清の一部を用いたが、その際に採取した血清の一部を本検討に用いることを患者さんに説明し承諾を得た。 1.慢性C型肝炎患者血清C3d結合免疫複合体値は慢性B型肝炎患者や健常人に比し有意に高値で、血清IgG値と正の相関を示した。しかし血清C3d結合免疫複合体値とHCV-RNA量およびHCVジェノタイプとは相関を認めなかった。 2.慢性C型肝炎患者で血清C3d結合免疫複合体値が高値を示す症例群の血清GOT、GPT、IgG値は、C3d結合免疫複合体値が低値を示す症例群のそれらに比し有意に高値を示した。 3.インターフェロン治療中の血清C3d結合免疫複合体値の変動はインターフェロン有効群、無効群間で有意差を認めなかったが、無効群では治療終了後にC3d結合免疫複合体値が再上昇するのに比し、有効群では治療終了後もさらに低下を認めた。 4.血清C3d結合免疫複合体が高値を示す症例のC3d結合免疫複合体からはHCVゲノムが検出されたが、C3d結合免疫複合体低値の症例からは検出されなかった。 5.血清C3d結合免疫複合体がB細胞活性化機能を有し血清IgG値を上昇させている可能性を考え、慢性C型肝炎症例のB細胞のC3d受容体であるCR2の表出、およびCR2を介した情報伝達系の異常の有無について現在検討中である。 以上より慢性C型肝炎ではC3d結合免疫複合体が高値を示し、その病態形成、特に液性免疫の動態にHCV-RNAを含有するC3d結合免疫複合体が関与している可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)