1995 Fiscal Year Annual Research Report
血管内皮細胞におよぼすインターフェロン(IFN)の影響に関する研究
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07770399
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
高取 正雄 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 講師 (90226796)
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Keywords | C型慢性肝炎 / インターフェロン / 組織プラスミノーゲンアクチベータ-(t-PA) / プラスミノーゲンアクチベータ-インヒビター1 |
Research Abstract |
C型慢性肝炎におけるIFN療法の血管内皮細胞への影響を知る目的でIFN治療前後の患者血漿中のt-PAとそのインヒビター(PAI-I)の変動を測定し、IFNの抗ウイルス作用、慢性肝炎の治療効果などと比較検討した。 C型慢性肝炎活動性24例にIFNα型(IFN-α)6.0MUの投与開始前日および連続投与14日後の早朝空腹時に採血を行った。t-PA抗原の測定はIMUBIN D-5 tissue plasminogen activator ELISA kit(American Diagnosticalnc)、PAI-I抗原の測定はImulyse PAI-I kit(Biopool Inc)で測定した。 【成績】(1)IFN投与前後の血中t-PA,PAI-1の変動 血中血中t-PAはIFN投与前に対し、投与後に有意の増加を示した(p<0.01)。血中PAI-1はIFN投与前、投与後に有意な変化を認めなかった。また、t-PAとPAI-1の投与前値は対照のt-PA、PAI-1といずれも有意差は認めなかった。t-PAの投与後値は、対照のt-PAと比較して有意(p<0.01)に高値を示した。 (2)IFN投与前後のt-PA/PAI-1比の変動 t-PA/PAI-1比は、IFN投与前に比して投与後に有意の増加を示した(p<0.05) 【考察】C型慢性肝炎患者は、IFN-αの14日間連日投与により、血中t-PAは有意に増加し、投与後は対照群と比較しても有意な高値を示した。しかしそのインヒビターであるPAI-1は有意な変化を示さず、さらにIFN投与前後でt-PA/PAI-1比も有意に増加し、血中線溶系亢進の可能性を示唆するものと思われた。しかし、t-PA/PAI-1比の高値群(1.0以上)でも重篤な出血傾向を認めず、臨床的には明らかな線溶亢進症状は認めなかった。これらの変化は血管内皮細胞損傷を含めたIFN-αの血管内皮細胞への何らかの影響によると推定される。 IFN療法における眼底出血等、副作用の機序解明には血中線溶系の観察も必要と思われる。 現在、培養血管内皮細胞に対するIFN添加および、ラットに対するIFN投与を行い、その他の血管内皮細胞由来因子の変動も含めて実験、検討を進めている。
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Research Products
(1 results)