1995 Fiscal Year Annual Research Report
傍腫瘍性症候群でみられる抗神経細胞抗体の神経芽細胞に対する細胞障害の検討
Project/Area Number |
07770462
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
金子 厚 埼玉医科大学, 医学部, 助手 (00224593)
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Keywords | 膀腫瘍性神経症候群 / 抗神経細胞抗体 / 抗体Hu抗体 / 細胞毒性 / 細胞培養 |
Research Abstract |
膀腫瘍性神経症候群における抗Hu抗体の神経細胞に対する細胞毒性を調べる為に、ラット胎仔より得た大脳皮質細胞の初代培養系に抗Hu抗体を添加し樹状突起の成長,細胞の増殖状態の観察を行った. [方法](1)神経細胞初代培養;ラットの妊娠17日目胎仔の大脳皮質を採取.これをTrypsin-EDTAに浸し、酸素処理後,ステンレスメッシュに通して細胞を有利させ,イ-グルMEM培養液で洗浄後,pol-Lリジンコートスライドに30×10^3細胞/300μl/wellの濃度で蒔き,5%CO_2,95%大気で4日間培養した. (2)抗神経抗体の投与;患者血清から硫酸アンモニウム沈殿法によりIgG分画を粗精製した抗Hu抗体および正常ヒト抗体IgGを種々の濃度(0,1.25,12.5,125μg/ml)加え,さらに2日間培養した。 (3)抗神経抗体の効果;倒立顕微鏡を用いて抗体添加後の培養細胞の形態を観察した。また4%パラホルムアルデヒドで培養細胞を固定,5%正常ヤギ血清でブロッキングし,FITC標識抗ヒトIgGを2次抗体として処理し,蛍光顕微鏡にて観察した。 【結果と考察】初代培養系では抗Hu抗体により全ての神経細胞が免疫染色され,グリアは染色されなかった.抗Hu抗体添加群ではshrinkingした神経細胞や神経突起の少ない神経細胞が観察された.抗Hu抗体は添加後,主に突起の短い神経細胞に存在し,形態の保存されている神経細胞にはほとんど存在しなかった.正常ヒト抗体添加群では神経突起の減少が軽度みられたものの,有意の変化はみられず,抗体の神経内への取り込みも示さなかった.抗体添加後,神経突起の短い細胞に多く抗Hu抗体がみられる事実は病態との関連を示唆する成績と考える.Hu抗原は神経細胞の発達および細胞維持に関わる蛋白と考えられているので,抗Hu抗体の存在は神経細胞の維持の障害性に働いたものと思われた.
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 吉村和法,金子厚,山室裕ら: "縦隔悪性腫瘍の患者血清に認められた抗神経細胞抗体の抗原分布とその時異性" 神経科学. 34. 232-233 (1995)
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[Publications] 金子厚,細川武,濱口勝彦: "40・kDa蛋白を認識する抗神経細胞抗体について" 臨床神経. 35. 1260 (1995)
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[Publications] 金子厚,吉村和法,田中健一他: "抗Hu抗体の神経細胞初代培養系における細胞障害の検討" 神経免疫. 4. 110-111 (1996)
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[Publications] 金子厚,濱口勝彦,吉村和法,田中健一他: "抗Hu抗体の神経細胞初代培養系における細胞障害の検討" 厚生省特定免疫性神経疾患調査研究班.7年度研究報告. (1996)