1995 Fiscal Year Annual Research Report
起立性低血圧症の脳血流自動調節能と血圧日内変動の関連についての研究
Project/Area Number |
07770482
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
田中 尚 近畿大学, 医学部, 助手 (20268428)
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Keywords | 起立性低血圧症 / 脳血流自動調節能 / 血圧日内変動 |
Research Abstract |
携帯型連続血圧測定器を用いて血圧日内変動を測定し、脳血流量との関係を調べた。対象は、起立性低血圧または高血圧を有する患者6例である。高血圧症患者2例では、血圧の日内変動は少なく、non-dipper型を示した。多発性脳梗塞を合併した1例の大脳平均脳血流量(以下mCBF,正常値53.8±6.4ml/100g/min)は、50.0あった。Binswanger病の1例は、昼の平均血圧(mmHg)が収縮期152±12.6、拡張期91±12.7であり夜間は収縮期138±8.2、拡張期78±12.0とdipper型で夜間の血圧低下が見られた。mCBFは、41.3と低下していた。起立性低血圧を有する家族性アミロイドーシスとシャイドレージャー症候群の各1例は、血圧日内変動はnon-dipper型でサーカディアンリズムが消失していた。体位変換を行い、血圧を変動させて脳血流量を測定したが、著明な血圧低下にもかかわらずmCBFは低下しなかった。これは、血圧変動に対して脳血流を保とうとする自動調節能の働きと考えられる。また別のシャイドレージャー症候群の1例は、昼の平均血圧が収縮期132±24.4、拡張期83±17.0、夜間は収縮期117±±12.0、拡張期74±10.2でありdipper型であった。同時期のmCBFは、臥位55.0、立位49.5と血圧低下に伴い脳血流の低下が見られた。3カ月再検査を施行したところ昼の平均血圧は収縮期125±19.1、拡張期79±13.9、夜間は収縮期119±19.0、拡張期75±12.1でありnon-dipper型となった。mCBFは、臥位52.7、立位53.9であり脳血流は変化しなかった。このことから自律神経障害の進行とともに血圧日内変動は失われるが、低血圧に対する脳血流自動調節能は経時的に獲得されていく可能性が示唆された。
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