1995 Fiscal Year Annual Research Report
Thrombospondinの血管内皮細胞におけるPAI-1産生増加作用の検討
Project/Area Number |
07770548
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
村石 昭彦 久留米大学, 医学部, 助手 (60229945)
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Keywords | トロンボスポンジン / TGF-β1 / PAI-1 / 血管内皮細胞 |
Research Abstract |
トロンボスポンジン(TSP)は血小板より放出される多機能糖蛋白質で、内皮、平滑筋細胞からも発現され血栓形成や動脈硬化の進展に重要である。今までA549細胞を用いて検討してきた中で、外因性TSP投与で内因性TGF-β1の産生が増加し、引き続きPAI-1の産生を増加させること、つまりTSPの作用が直接的でなくTGF-β1を介し作用する可能性を示した。血管内皮細胞でも同様のメカニズムの存在が疑われ、現在その機序を研究している。心臓内皮細胞でのTSPの役割は殆ど研究されていないが、活性化された血小板や内皮細胞傷害された平滑筋細胞から放出されたTSPが、TGF-β1の作用を介してPAI-1の産生を増加させるとすれば、血栓溶解を妨げ、虚血性心臓病、動脈硬化の進展に重大な影響を及ぼすことになる。未発表だが、科研費補助研究で、ラット心筋内の内皮細胞では、免疫組織化学的検討で他臓器の内皮細胞よりも高度のTSPが発現している所見を得た。さらに、心筋梗塞や高血圧作製ラットモデルで心筋細胞自体からも再発現されることを見いだし今年度の日本循環器学会にて発表する。 TSPの作用には内因性TGF-β1の役割が重要であるという仮説を検証するため、in vitroの系で、精製TSPを血管内皮細胞に投与後、TGF-β1, PAI-1の産生を蛋白レベル、mRNAレベルで検討している。今までにTGF-β1単独投与でもPAI-1レベルは上昇するという結果を得始めており、継続して、1) TSP抗体の投与によりTGF-β1, PAI-1の上昇は抑えられる、2)しかしTGF-β1 antisenseを事前に内皮細胞に導入しておけばTGF-β1, TSPいずれの作用も抑制する 等の作業仮説を引き続き証明したい。来年度はこれに加え、完全長のTSP cDNAをHVJベクターを利用して血管内皮細胞にin vitro遺伝子導入して内因性TSPの作用、特にTGF-β1, PAI-1との関連性と循環器疾患における意義を検討して行きたい。
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