1995 Fiscal Year Annual Research Report
TGF αとTGF βの瘢痕形成に及ぼす影響とPG剤の瘢痕形成予防効果の基礎的検討
Project/Area Number |
07770684
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
郡司 裕則 福島県立医科大学, 医学部, 助手 (50254008)
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Keywords | TGF β_1 / PGE_1 / コラーゲン / コラ-ゲナーゼ / 瘢痕 |
Research Abstract |
われわれは今回、PGE_1の瘢痕形成抑制効果について検討を加え、いくつかの知見を得たので報告する。われわれは実験に際し、手術時に採取した同一症例の肥厚性瘢痕皮膚および正常皮膚(真皮)から、それぞれ肥厚性瘢痕由来線維芽細胞(SHDF)と正常真皮由来線維芽細胞(NHDF)を分離培養し、その3から5代目の培養線維芽細胞を用いた。検討内容としては、in vitroにおいて同一症例のSHDFおよびNHDFの培養上清中のコラーゲン合成活性とコラ-ゲナーゼ活性およびTGF β_1産生量を定量し、さらにPGE_1を添加した際の効果について比較検討した。その結果、コラーゲン合成活性の両者間での差は認められず、コラ-ゲナーゼ活性はNHDFの培養上清中において、SHDFのそれよりも有意に高い結果を示した。それに対し、PGE_1によりコラーゲン合成活性の有意差は認められなかったが、コラ-ゲナーゼ活性は、両者ともに非添加群に比較して増加傾向が認められ、とくにSHDFでは有意な増加傾向を認めた。一方、TGF β_1は、SHDFでNHDFよりも有意に高い産生量を示し、このことから、瘢痕での線維芽細胞はautocrineにTGF β_1を産生し自らが増殖する方向にあると思われた。また、PGE_1添加では両者ともに有意ではないが、TGF β_1産生は増加傾向を示した。このことから、PGE_1はコラーゲン産生量には直接の影響を及ぼさないものの、コラ-ゲナーゼ活性を高めることにより分解を促進することが示唆され、この作用によりPGE_1は瘢痕抑制作用を発現する可能性があると思われた。しかし、PGE_1により有意ではないもののTGF β_1産生量も上昇するため、臨床においては長期間の使用ではなく、例えば表皮化までの使用にすべきかと思われた。
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