1995 Fiscal Year Annual Research Report
皮膚抗酸菌症におけるPCR法による抗酸菌DNAの検出
Project/Area Number |
07770708
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
前口 瑞恵 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (90256561)
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Keywords | 皮膚抗酸菌症 / PCR法 / 新鮮凍結組織 |
Research Abstract |
過去10年間における、当科保存のパラフィンブロックのうち、真性皮膚結核2例、皮膚非定型抗酸菌症4例、バザン硬結性紅斑4例の計10例について、脱パラフィン後、DNAを抽出し、PCR法により抗酸菌群DNAおよび結核群DNAの検出を試みた。また新たに皮膚生検したバザン硬結性紅斑1例と、皮膚非定型抗酸菌症1例については新鮮凍結組織を用いて行なった。 PCR法は結核菌を含む抗酸菌群Mycobacterium属に特異的な16Sリボゾ-マルRNA遺伝子の600bpを増幅するプライマーと、結核菌M.bovisの菌体外産生蛋白であるMPB70遺伝子の372bpを増幅させるプライマーを用いてnested PCR法を行ない2つの試験を組み合わせることにより結核菌群と非結核性抗酸菌群を鑑別した。 その結果、パラフィンブロックで行なった真性結核、非定型抗酸菌症、バザン硬結性紅斑の全例、および新鮮凍結組織で行なったバザン硬結性紅斑の1例では抗酸菌、結核菌ともに陰性であったが、新鮮凍結組織で行なった非定型抗酸菌症の1例で抗酸菌群陽性、結核菌群陰性との結果が得られ、生検後数日で確定診断が可能であった。パラフィンブロックでは、すでに組織培養で陽性所見が得られている例を含め、菌体のDNA検出が不可能であったことより、ホルマリン固定によるDNAの変性の影響が示唆された。 今後皮膚抗酸菌症におけるPCR法用検体としては、新鮮凍結などのホルマリン固定を避けた状態がが望ましいと思われた。
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